ヘッダーイメージの更新

 久しぶりに更新です。季節に合わせてヘッダーイメージを入れ替えてみました。

 以前の勤務先を退職してから半年以上が経過し、目下思い悩んでいるところです。
 起業すべきか、どこかの組織にお世話になるか。
 このブログ、更新が止まっていたにも関わらず大勢の方がいらしていたようで、ありがとうございます。
 少しばかり驚きと、申し訳なさも感じております。

 年明けの来月中には結論を出さなくてはと思っています。
 この場所ももう少し有効活用したいですね。

 それではみなさま、よい年をお迎え下さい。

特別支援の手法 通常学級に

 本日(2012/4/13)付の読売新聞より『特別支援の手法 通常学級に』という記事。
 この読売の記事を読んで、こんなことを思いだしました。
 

 以前、短期間ではあったが障がいを持つ方々の支援団体をIT分野でサポートさせて頂き、その時にこんなことを学びました。

 『障がい者にやさしい施設は、一般の方々にとっても使いやすい』

 確かに、車いすが余裕を持ってすれ違える、広々とした廊下を歩くのは気持ちの良い体験でした。
 バリアフリー(障害を取り除く)の発想からユニバーサルデザイン(誰にとっても使いやすく)へ。
 これは新鮮な体験でしたね。

 ちなみに私が身をもってユニバーサルデザインを体験した宿がこちらです。

・「ピュア・フィールド 風曜日

記事にもあるように、「特別支援教育の手法を導入することで、授業が分かりやすくなり、子どもたちの集中力も高まる」効果はあるでしょう。
 そしてそれは特別なことではなく、「掲示物を教室の後ろに貼って授業中に気が散るのを防ぐ」「教師がジェスチャーを交えて理解を図る」といった事から始められるのです。

 教育のユニバーサルデザイン。

 この着想を普段着のICT利活用にぜひ生かしてほしいものです。
 

放課後、子どもの居場所

 今朝の朝日新聞オピニオン面。
 「下校チャイムが鳴った後」という見出しで、学童保育(放課後児童クラブ)に関する意見を3人の方がそれぞれの立場で述べていらっしゃいます。


(2012/4/12 朝日新聞紙面より)

 そのうちお一人は内閣府政策統括官の村木厚子さん。『後手に回って「小1の壁」』というキャプションで、保育所とシームレスに繋がっていない制度の不備を後手に回ったとしながらも、児童の放課後の受け皿整備が一歩前進した旨の発言をされています。
 共働きや片親の家庭が増加するという社会構造の変化の中で、保育所の整備は(保育所入所待機児童は依然として多いですが)進められてきましたが、小学校低学年児童の「学童保育」は後回しになったという現状があるようです。

 私も3年前、松山市の「放課後子どもの居場所づくりプロジェクト」開始に際し、ボランティアで参加する学生・一般の方対象に「聞くスキル」について講義をさせて頂いて以来、頭の片隅にあるテーマです。奇しくも本日、その時の関係者とお会いすることになっています。

 さて、私の関心事は「放課後の子ども居場所とICT」(笑)。

 例えば、子どもの居場所になる教室にデジタルドリルを自由に使える環境を用意することで学力向上に繋がった、などという事例を聞きますが、私は賛成ではありません。
 だって放課後ですよ?
 学校の宿題をやるならまだしも、そういう機器があって「勉強しなくちゃ」という空気になってしまうのはいかがなものか、と。場所は学校の教室を借りることがあるかも知れませんが、学校の延長にはしたくないですね。
 また、学科を教えられる教員がついて指導できるならまだしも、機器に子どものお守りをさせるようではという懸念もあります。現在の教材レベルは優れた教員の足下にもおよびませんから。

 ええと、子どもの居場所とICTの話でしたね(笑)。

 実はノーアイディアです(爆)。

 漠然とICT、コンピュータの力を活用できるのでは? と考えているだけです。
 昔の子どもがしていたような野外での遊びに代わることをコンピュータを利用してできないか? 例えば、プログラミングも遊びのひとつと捉えられないか。最近は以前も紹介したビスケット等のグラフィカルユーザインタフェースを用いたプログラミング環境が無償で提供され始めています。例を挙げます。下のケロケッツはゲーム作成に特化したWebサービスです。

・「ビジュアルプログラミング言語VISCUIT
・「KEROCKETS(ケロケッツ)

 指導者、機器管理、子どもの健康管理など問題はあるでしょうが、未来のクリエーターに繋がる可能性はあるのではないでしょうか。

 この「放課後の子どもの居場所」は、成功例もあるようですが様々な要因や思いが絡んでいて難しいのが現状のようです。
 教育評論家・元小学校教員の親野智可等さんによれば「日本が突き当たっている放課後の子どもの問題は、実は先進国に共通する悩みです。米英仏独や豪州、韓国でもよりよい過ごし方を模索しています。」だそうです。
 「世の中のお父さんたちは、子どもの頃、友だちといっぱい遊んで楽しい放課後を過ごした記憶があるはずです。今の子どもたちにも同じ思いをさせてあげませんか?」という親野さんで、このエントリを結びたいと思います。

ガイドライン2012が公表されました

 総務省「教育分野におけるICT利活用推進のための情報通信技術面に関するガイドライン(手引書)2012」が公表されました。

 児童生徒ひとりひとりにタブレットPCやスレート端末(iPadのような端末)を配布して授業に活用しているような現場のICT支援員や教員の方々は目を通しておくとよいでしょう。普段から情報収集をしていれば特別目新しいことはありませんが、網羅性は高いと思いますので。
 中学校の項目には、タブレットPCやIWB選定の考え方が記載されていますが、特別支援学校の機器選定についても記載頂きたかったですね。ICT利活用の狙いがより鮮明になりますから。

 2011年度の調査研究報告書が待たれます。

この記録映画「鬼に訊け」が見たい

 宮大工棟梁・西岡常一さんの記録映画「鬼に訊け 宮大工西岡常一の遺言」(山崎佑次監督)が、4/14から大阪・十三の第七芸術劇場を皮切りに各地で上映されるそうです。


(朝日新聞 4/10付 文化面より)

 西岡さんのことはかなり前、『木のいのち木のこころ』三部作を読み、感じ入った記憶があります。

曰く、
 宮大工の仕事は1000年残す建物を作ることだから、100年後のことを考えて木を組め。

 ちょっとうろ覚えですが、こんなことが書いてあったと思います。長く残る建物だから「今」よくてもダメなんですね。木自体の重さで落ち着いていく「100年後」をイメージしないと・・・
 当時、塾講師だった私に、生徒の卒業後の長い人生について目を開かせてくれた言葉でした。

 朝日の記事からも西岡さんの方法論を抜粋します。
 『木の質は土の質によって決まる。ただ製材された材木を買うのではなく、山を観察し、そこに生えた木の質まで判断して買わねばならない。建物を建てるときは、南に生えていた木は南に、北の木は北にと、成長した環境に合わせて使う。木は微妙に右や左にねじれていたりするため、この癖を組み合わせてねじれを相殺し、建物がゆがまないようにする・・・』

 人を見るように木を見ています。
 様々な局面で生きてくる教えではないでしょうか。

 山崎監督は6年間寺社建築を勉強され、その後撮影に3年半かけたそうです。
 この記録映画、ぜひ見たいです。

ヘッダーの写真、変更

 いつまでも「雪の金閣寺」じゃないだろう(笑)、ということでタイトルの写真を変更。

 昨日松山入りして、今朝、松山城へ。
 花見のシーズンということで、大きなリュックを背負った子どもたちの後姿をパチリ。
 奥に見えるのは怪しいものではありません(笑)。ひこにゃんならぬご当地キャラの「よしあきくん」。

 歩いてゆく子どもの姿とICT活用教育の未来が重なったお気に入りの一枚。

 元画像には桜のバックに松山城も。タイトル写真を撮るつもりでいあたので、構図はやや適当。ご笑覧下さい。

フューチャースクールと災害時対応

 今年の1月、某中学校の支援員研修で気になることがありました。
 教員用のPCがデュアルブート構成になっていたのです。

 セットアップを担当した方に聞くと「詳しいことは分からないのですが・・・」と前置きしつつ、「災害時の対応らしいです」と話してくれました。

 この時想像できたのは、
 ・学校が災害時の避難場所として指定されている地区は多い
 ・携帯電話が不通になってもインターネットが使用できた事例は多い→タブレットPCなどを災害時の情報伝達手段として利用する
 ・タブレットPCはバッテリ駆動なので、ネットワーク機器のバックアップ電源があれば(そのエリアのみ)停電でもシステムは動作する
といったことでした。

 これについて「ガイドライン2012(素案)の概要」で言及されています。

 ・「フューチャースクール推進研究会(第3回)」の資料5「ガイドライン2012(素案)の概要」の第5章。

 この資料によると、上記の他に
 ・持ち込み端末の接続
 ・タブレットPC等のバッテリを活用したUSB経由の充電
等も盛り込まれています。

 せっかく巨額の予算を投じて機器を設置するわけですから、+αの予算で災害時に役立つシステムができるのはよいことです。
 ただし、授業の中でも機器トラブルは絶えませんので、非常時に信頼性のある備えとするために、検証をしっかりして頂きたいと思います。

ICT支援員の今後を資料より考える

 今回は、総務省第3回フューチャースクール推進研究会資料より、資料2「第2回研究会での指摘を踏まえた対応について」から読み取れる「ICT支援員の今後」について考えてみたいと思います。

 気になるトピックスとして「(3)ICT支援員について」の「対応」から抜粋します。
 『今後のICT支援員の役割等について整理するとともに、ICT支援員が常駐しない環境でもICT環境の維持管理をすることを想定した調査の実施を検討する。』
 関連項目として「(1)ICT環境について」の「指摘事項」に
 『支援員なしで扱えるような電子黒板を開発をしてほしい。』とあります。

 「ICT支援員が常駐しない環境でも」「支援員なしで扱えるような電子黒板」という文言から「ICT支援員は非常勤に」という方向性が見て取れます。
 後者に関しては過去エントリでも何度か触れたように、現在の電子黒板(IWB)は高機能・多機能優先で最も重要な授業の流れを作る「タッチ=操作性」に関してお寒い現状があり、それを何とかして欲しいという現場の先生からの心の叫びと読めないことはありません。
 が、前者で明らかに「常駐しない環境でも」と書いてありますので、総務省の描く将来像としては「学校巡回型のICT支援員=学校の先生から見れば非常勤」を想定しているのでしょう。もちろん、経費削減の意味合いが強いでしょうね。

 「ICT支援員の役割等について整理する」という文言も見られます。実証実験とはいえ現在多くの役割を支援員さんは負わされています。
 (a)先生方への機器使用説明
 (b)授業内における機器操作支援
 (c)授業中の機器トラブル対応
 (d)機器メンテナンス
 (e)児童生徒名簿の年度(学期ごとの)更新
 (f)授業で利用するコンテンツの下調べならびに準備
 (g)授業でのICT利活用場面の提案
 (h)日報・授業記録の作成
 (i)その他雑務

 ざっとこのような業務があると思いますが、どう整理しましょう?
 (a)(b)はICT導入時には手厚くする必要があると思いますが、先生方が慣れるに従ってその頻度は減っていくでしょう。
 (c)(d)(e)はオンデマンドで必要に応じて企業が対応する? (c)は現在でも授業を止めないように、児童生徒用のタブレットPCは予備機を用意しているのが普通の運用です。IWB、教員機等にトラブルが起きた場合は・・・先生方にBプランを用意していただくしかありませんね(笑)。
 (f)(g)については、蓄積されつつある知見を共有し先生方の負担を減らす方向で、ということでしょうか。
 (h)は本来のICT支援員の業務ではありませんから(例 学校行事のお手伝い、など)無視してさしつかえないでしょう。

 こう書き並べると確かに学校の先生がICTに慣れてくれば、ICT支援員は非常勤でも現場は回りそうな気もします。

 本当に回りますかね? 回ってることにしよう!じゃないでしょうか(笑)。

 私はICT支援員は常駐が望ましいと考えます。予算がつけば、の話ですが。
 現状は過渡的な運用期で、ICT支援員という資格制度があるわけではありません。しかし、「教育の情報化」ということを見据えた時に図書館司書と同程度の専門性が必要になることは必至です。
 司書教諭のように、先生と兼務するといった運用もあるかもしれませんが負担は相当大きなものになることが予想されます。

 非常勤化するのもやむなし、というのであれば、知見の蓄積・活用に加えて、ICT機器・コンテンツの熟成、現場の習熟といった条件を満たさなければと考えますがいかがでしょう?

4/2、日経新聞のコラムより

 こんな時間にブログを更新していると、フリーになったことを感じますね。

 さて、本日づけの日経新聞は『産業天気図4〜6月』が気になった方が多かったと思いますが(笑)、私は教育面の2つのコラム、「英国の進んだICT授業、新しい学び方見習おう」と「生活乱れて成績急落、学力回復より難しいこと」の対比がおもしろかったです。

 前者は玉川大学 小松郁夫教授が「英国で見学した先進的なICT教育をぜひ日本にも」という主旨で記述されています。電子黒板を各教室に、という希望を述べておられますがそこへ向けての実証実験は現在盛んに行われています。
 もはやICTを「導入するか、しないか」ではなく、「導入するならどいういう形態がよいか」という詰めの段階に来ていると思います。あとは、予算化、ICT支援員の制度化等をどうクリアしていくか、ですね。

 一方、後者は「成績は悪くなかった都立高生の成績が急落、原因は生活面」という話題。塾の教え子だった生徒が相談に来て「単位制の定時制高校に出願し、試験ではなく面接で落とされる」という結果に。面接を非常にだらしのない格好で受けたという落ちがついていました。
 これは私も塾経営時代に痛感した問題です。
 児童生徒に授業を聞かせられる時間は限定的で、自分でコントロールできる時間の方が圧倒的に長い。その自由になる時間でどう勉強するか。
 だからこそ、ひとりひとりの生徒をトータルに指導できる「クラス担任制」のアドバンテージがあったことは以前のエントリでも書いた通りです。成績を上げるということは、単に勉強のコツを掴めばいいというものではなく、場合によっては生徒自身が変わらねばならないことも多いのです。

 この2つのコラム、意図して同じ面に並べたわけではないでしょうけど、「ICT活用授業」ばかりに目がいってしまって見落とされがちな「児童生徒をどう指導するのか」という視点を補っていておもしろく感じました。
 後者はコンピュータ任せというわけにはいかないでしょうからね。

 ICT活用授業を研究するのに忙しく、児童生徒と向き合う時間が減ってしまうというのは本末転倒です。
 そこはICT支援員の協力も得ながら、先生方にはいわゆる「クラス運営」に向き合い、子供たちを指導する腕を磨いてほしいと思います。