ICT支援授業への(よくある)批判(1)

明けましておめでとうございます。
ICTwalkerと題して、ICT(Information and Communication Technology)に関するあれこれをメモしていきます。どうぞよろしく。

さて、昨日の元旦、コンビニで5紙ほど新聞を購入し読み比べてみました。どの新聞にもICTを活用した授業の話題が載っており、興味深く読みました。いくつか面白いことも載っていましたが、相変わらず誤解に基づいた的外れな批判もありますね。ここで一例を取り上げてみましょう。
なお私自身の経歴を簡単に述べておきますと、
クラス担任制の高校進学塾の現場で20年近く中学生を中心に学習指導にあたってきました。教えた児童・生徒の数は千数百人に上ります。現在の所属はNTTのグループ会社ですが、このキャリアを活かし2010年度に始まった総務省「フューチャースクール推進事業」では東日本エリアのICT支援員の育成を担当しました。また、類似した事業である「絆プロジェクト」や「教育スクウェア×ICT」でも同様の業務を担当。
塾の視点+ICT教育の現場の視点として参考になれば幸いです。

さて、日本産経新聞の記事です(2012/1/1)。
『学校にもIT』という記事。小見出しを拾うと「最新機器の普及加速」「財源不足、整備阻む」というもので 内容には概ね同意できます。大学でのOCW(Open Course Ware)にも言及されていますし。
しかしよくある「何も知らない一般人の声」をそのまま取り上げ、それに対する現場の実情が レポートされないのは如何なものか。
曰く①「字が書けないような子供が大人になるのはコワイ(20代女性)」、②「礼儀や我慢、努力など根本的な教育を望む(40代女性)」 という要望もあった、とのアンケート結果が述べられています。
この意見、どう思われます?  ICTを活用する/しない以前の問題と感じるのは私だけでしょうか?
現場を見てきた者から言わせてもらうと、①についてはデジタル教材で筆順を確認した後、実際に鉛筆を握って書き取り練習を行う授業形態が多い。ICTは筆順の習得に有効と言えこそすれ・・・というか、ICT支援教育導入前に漢字の書けない大人はいなかったの? ②はそもそも教育の基本でICTを活用する/しない以前に、学校/教員の姿勢という気もします。が、1点事例を紹介しておきます。 クラスの児童が一斉にパソコンを操作するような場面では、説明を聞かせるために先生が全児童のパソコンを一時的に使用不可にできるアプリケーションがあります。が、教育という観点からは「合図があるまでパソコンを操作しない」よう指導すべきでしょう。実際にこのような取り組みが成功している1年生のクラスを参観したこともあります。その一方、好き勝手にパソコンを触ってしまう5年生がいたりします。

上記のような不安・懸念が出るのは、実際の教室の様子が等身大で報道されていないことに一因があると思います。実情を知らない人が想像だけで好き勝手な事をいい、それがマスメディアで取り上げられる。これって、何かよいスパイラルを産むのでしょうか?
マスメディアは「街角インタビュー」方式の声の紹介を考え直した方がいい。

こういう報道の背後にはICTへの嫌悪感があります。もちろん留意すべき点もあるし、ICTは万能ではない。この点を踏まえつつ、取り組みが始まったばかりの現場では先生方の努力でさまざまな検証が行われています。そんな先生の声も紹介しましょう。
とても一度に紹介しきれませんが、2点だけ。
・ICT機器(プロジェクター、実物投影機、電子黒板、タブレットパソコン、など)はあくまで教具のひとつ。使い方は教員しだい。
・持続的にICTを活用している教員は、1時限(45分)の授業の中でここ!というポイントで5〜10分程度活用するケースが多い。 もちろん必要がなければ使用しない。

この話題、明日も続けます。

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