大学生も「平均」が分からない

 『大学生の4人に1人、「平均」の意味誤解 数学力調査』という記事が朝日新聞(Web)に掲載されました。

 私にとってはかなり以前の「高校で分数計算を教える」記事の方が衝撃でした(笑)。

 「平均」は算数・数学を教えた経験がある方なら今回の調査を待たず誤解が多い概念だということはご存知でしょう。日常見聞きすることが多い言葉だけに、その影響は深刻と言えます。いわゆる「足して2で割る」という考えが染みついています。

 朝日の記事では、いわゆる通常の平均について大学生を対象に調査していますが、「平均の速さ」についても誤解(=きちんと学べていない)は多いように思います。
 中学生を教えていた時代、次のような誤解をしている生徒が少なからずいました。

「12kmの道を往きは時速6km、帰りは時速12kmで往復しました。平均時速を求めなさい。」といった問題を
 (6+12)÷2=9 答え 時速9km
と解いてしまうのです。

 念のため正解を示すと、
 [平均時速]=[移動した距離]÷[かかった時間]ですから、
 [往きにかかった時間] 12km÷時速6km=2時間
 [帰りにかかった時間] 12km÷時速12km=1時間
 [平均時速] (12km×2)÷(2時間+1時間)=24÷3=8
 答え 8km

 日常生活に密着していますから、よく理解しておくことが大切な概念です。

 例えばA地点からB地点まで速やかに移動することを考える時、上記の考え方がないとひたすらトップスピードを上げることで平均時速上げる(危険運転)ことしか頭に浮かばず、緊急車両の制限速度時速80km(一般道)では遅い、と感じてしまいます。
 しかし、緊急車両は信号待ちをしなくてもよいので、上記の式でいう分母(かかった時間)を小さくすることで平均時速を大きくできるわけです。ちなみに私がよく運転していた札幌市内では信号待ちが多く、平均時速は20〜30kmでしたね。

 もうひとつ。
 平均寿命の誤解があります。
 平均寿命とは0歳児の平均余命のことですが、「足して2で割る」式のイメージを持ってる方は少なくないのではないでしょうか。極端な例ですが、死亡時年齢が0歳と80歳の人が居たとして足して2で割れば、平均寿命40歳。この数値は確かに平均かもしれませんが、何かを表す有意な数値ではありませんし、平均寿命の考え方としても間違っています。
 実際の平均余命の求め方ですが、現在○歳の人が後何年生きられるかということを前年のデータに基づいて算出しており、これを0歳に当てはめたものが平均寿命と呼ばれるものです。
 厚労省のHPに詳しい説明がありますが、積分が出てくるのでびっくりされる方もいるかもしれませんね。

 ここまで平均のことについて述べると、もうひとつ誤解の多い「確率」について書きたくなってしまいました(笑)。
 近いうちに書きます。

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