「確率」も危ない!

 昨日、「平均」の理解の危うさについてエントリを起こしましたが、今日は確率について。

 いきなり質問です。
 コインの裏が出るか、表が出るか賭けをしています。ここまで10回連続表が出ています。あなたは表、裏、どちらに賭けます?

 おそらく、多くの人は「裏」です。そのココロは「ここまで表が続いたのだから、そろそろ裏が出るだろう」
 確率的に言えばこの考えは間違い。コインが今までのことを覚えていて、次は別の面を出すとでも?
 いかさまコインでない限り今までどちらが何回出たかに関わりなく、次の回も表が出る確率は1/2、裏が出る確率も1/2です。

 10回では回数が多いので、3回で検証してみましょう。今まで2回連続で表が出ました。次は何?という問題。
 1回目-表、2回目-裏、3回目-表 という出方を(表、裏、表)と書き表すことにします。全ての場合を書き出すと以下の通りになります。

 (1)(表、表、表) (2)(表、表、裏)
 (3)(表、裏、表) (4)(表、裏、裏)
 (5)(裏、表、表) (6)(裏、裏、表)
 (7)(裏、裏、表) (8)(裏、裏、裏)

 ここで多い勘違いは「全部で8通りの場合があって、すべて表が出てるのは(1)の場合だから確率1/8。だから次も表が出る確率は低いんじゃない?」というもの。

 全ての場合を見てはいけません。
 ここで見るべきは表、表と来ている(1)と(2)のみです。ここを押さえると次に表が出るか裏が出るかは五分五分の勝負ということが分かりますね。

 3回連続表が続くケースがレアなのは、1回目を試行する前に宣言した場合です。
 「これから表が連続3回出たら、コーラおごって」なんて言う場合、そのもくろみが叶う確率は1/8です(笑)。ただし、誤解の無いように付け加えておきますが「これから表、裏、表と出たら」と宣言した場合も(3)の場合しか該当はなく、確率は同じ1/8になります。

 ということで、ギャンブルで負けが続いた場合「次こそ」と期待して逆張りするのは、「前の試行の結果が影響を与える」場合を除いて無意味です(^_-)

 もうひとつ行きましょう。
 年末に多くの人が楽しみに買う宝くじ。私たちは「この売り場から1等が出ました」といった文句に弱いので、ついその売り場で買えば当たるような錯覚に陥ってしまいます。
が、公正な宝くじであれば上記で検証したように「当たりが出た売り場だからといって、次も当たりが出るとは限らない」と言えます。

 それでも「毎回のように当たりが出ている売り場があるのはなぜ?」という疑問を持つ方がいるでしょう。
 それは単純に販売数が多いから。
 1億本のくじを売る売り場と、1万本しか売れない売り場では前者の方が確率的には1万倍当たりが出やすいといえます。

 「じゃあ、販売数が多いとは思えない売り場から連続して出ているのはなぜ?」
 この問いに対する答えは2つあります。

 公正な売り場であれば「たまたま」です(笑)。こういう場合は長いスパンをとって見てください。過去10年くらい遡って調べることができればたまたまというのが実感できるのではないでしょうか。

 もうひとつの答えは「宣伝のためのウソ」です。
 人聞きの悪い言い方ですが、一般の人にはほとんど検証のしようがないことですから、もしかすると虚偽の実績を掲げている売り場があるかもしれません。そうすることがその売り場にとってプラスになるなら、ですが。

 ちなみに「今日は大安です」と言って売っている売り場。ほほ笑ましいです(笑)。
 すべての人に当たるといいですね。