2012/3/4の朝日新聞3面の記事。
「学習内容に偏り」「教師は疲弊」との小見出しが続く。
記事は10年前にブッシュ政権がつくった「落ちこぼれゼロ」法が成果を上げられず、見直しを求める声が強まっているとした上で、最上段に「橋下流教育政策に先行」と打ち、橋下市長の教育改革に疑義を呈しています。
アメリカと大阪を比較した表があるので抜粋します(以下、朝日新聞の記事より)。
■米国と大阪の教育改革の類似点
米国 | 大阪 | |
学校別に結果を公表。保護者はそれを基に学校を選択 | 学力 テスト |
保護者が小中学校を選べるよう、学校別に結果を開示 |
テストが4年連続で目標に達しない場合、教員を総入れ替えする | 教員 評価 |
保護者の申し立てや校長の評価で、不適格教員を現場から外して研修 |
5年連続で目標に達しない場合や卒業率が低い学校は閉校 | 統廃合 | 3年連続で定員割れした府立高校は再編整備。小中学校でも学校選択制を導入し、選ばれなかった学校は統廃合も考慮 |
テストが標準に達しない子は低学年から留年させることができる | 留年 | 小中学校で、学力不足の子の留年を検討 |
シカゴ、ニューヨークなど大都市で教育委員会を市長直属に | 教委 | 教育の基本計画は首長が教育委員会と協議して作る |
テストが2年連続で目標に達しない場合、塾や家庭教師に使えるバウチャー(券)を支給 | バウチャー | 所得が低い地区の子の保護者に、塾や習い事に使うバウチャーを支給 |
(大阪の改革項目は教育基本条例や橋下徹市長の発言による)
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記事によれば米国の失敗は「評価をテスト結果のみにしたことで、子どもたちはつまらない授業(テストのための勉強)にうんざり、効果も上がらない」ということのようです。
それはそうでしょう、テストの結果や数字のみを求めて競争すれば疲弊するのは目に見えている。
記事中にあるように「(学力格差を明らかにしたことはよかったが)格差を是正するには予算をかけ教員を増やし、きめ細かい多様な教育をする以外にない」とのことですが、その予算が限られている中で最適解を探さなくてはならないから苦しいのです。
で、橋下さんはどうするのか。
このアメリカの事例、成果や失敗とされる内容・原因について精査する必要があると思います。
ちょっとこの記事の書き方は橋下さんに好意的とは言えない。例えば上の表、「教員評価」の項目ですが、テストが目標クリアできない場合教員総入れ替え(米国)というのと、不適格教員を現場から外して研修(大阪)というのが並んでいます。これを類似点としてひと括りにするのは乱暴ではないでしょうか。
先行事例を踏まえて、結果・数字のみを追いかける教育にならないよう橋下市長には頑張って頂きたいものです。