ICT支援員の今後を資料より考える

 今回は、総務省第3回フューチャースクール推進研究会資料より、資料2「第2回研究会での指摘を踏まえた対応について」から読み取れる「ICT支援員の今後」について考えてみたいと思います。

 気になるトピックスとして「(3)ICT支援員について」の「対応」から抜粋します。
 『今後のICT支援員の役割等について整理するとともに、ICT支援員が常駐しない環境でもICT環境の維持管理をすることを想定した調査の実施を検討する。』
 関連項目として「(1)ICT環境について」の「指摘事項」に
 『支援員なしで扱えるような電子黒板を開発をしてほしい。』とあります。

 「ICT支援員が常駐しない環境でも」「支援員なしで扱えるような電子黒板」という文言から「ICT支援員は非常勤に」という方向性が見て取れます。
 後者に関しては過去エントリでも何度か触れたように、現在の電子黒板(IWB)は高機能・多機能優先で最も重要な授業の流れを作る「タッチ=操作性」に関してお寒い現状があり、それを何とかして欲しいという現場の先生からの心の叫びと読めないことはありません。
 が、前者で明らかに「常駐しない環境でも」と書いてありますので、総務省の描く将来像としては「学校巡回型のICT支援員=学校の先生から見れば非常勤」を想定しているのでしょう。もちろん、経費削減の意味合いが強いでしょうね。

 「ICT支援員の役割等について整理する」という文言も見られます。実証実験とはいえ現在多くの役割を支援員さんは負わされています。
 (a)先生方への機器使用説明
 (b)授業内における機器操作支援
 (c)授業中の機器トラブル対応
 (d)機器メンテナンス
 (e)児童生徒名簿の年度(学期ごとの)更新
 (f)授業で利用するコンテンツの下調べならびに準備
 (g)授業でのICT利活用場面の提案
 (h)日報・授業記録の作成
 (i)その他雑務

 ざっとこのような業務があると思いますが、どう整理しましょう?
 (a)(b)はICT導入時には手厚くする必要があると思いますが、先生方が慣れるに従ってその頻度は減っていくでしょう。
 (c)(d)(e)はオンデマンドで必要に応じて企業が対応する? (c)は現在でも授業を止めないように、児童生徒用のタブレットPCは予備機を用意しているのが普通の運用です。IWB、教員機等にトラブルが起きた場合は・・・先生方にBプランを用意していただくしかありませんね(笑)。
 (f)(g)については、蓄積されつつある知見を共有し先生方の負担を減らす方向で、ということでしょうか。
 (h)は本来のICT支援員の業務ではありませんから(例 学校行事のお手伝い、など)無視してさしつかえないでしょう。

 こう書き並べると確かに学校の先生がICTに慣れてくれば、ICT支援員は非常勤でも現場は回りそうな気もします。

 本当に回りますかね? 回ってることにしよう!じゃないでしょうか(笑)。

 私はICT支援員は常駐が望ましいと考えます。予算がつけば、の話ですが。
 現状は過渡的な運用期で、ICT支援員という資格制度があるわけではありません。しかし、「教育の情報化」ということを見据えた時に図書館司書と同程度の専門性が必要になることは必至です。
 司書教諭のように、先生と兼務するといった運用もあるかもしれませんが負担は相当大きなものになることが予想されます。

 非常勤化するのもやむなし、というのであれば、知見の蓄積・活用に加えて、ICT機器・コンテンツの熟成、現場の習熟といった条件を満たさなければと考えますがいかがでしょう?

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