ICT活用の悩みどころ

 現在、私が関係している学校では2月中旬に公開授業が行われます。
 悩ましいのは、本格導入からひと月ちょっとで公開授業があること。早い(笑)。

 初年度のフューチャースクールであれば「お披露目」的な内容でよかったかもしれませんが、2年目ですから機器やシステムそのものを見に来る方はおられないと思われます。
 つまり「ICTのための授業」ではなく、「授業のためのICT」を見せる必要がある。

 今、悩んでいるのは国語の授業。
 分教室と結んで授業を行うので「TV会議システム」は使う必然性があるのですが、協働学習を行う「コラボノート」の活用が難しい(コラボノートを使うという縛りがあるので)。

 生徒の文字入力スキルにかなり差があるので、文章を書いてコラボノートで共有するというのは1時間の授業の中では難しい。となると
(1)前時(前の授業時間)に入力を済ませておく
(2)比較的短い文の入力に留めておく
といった対処が浮かびますが、(1)ではそもそもコラボノートを使う必要があるのか、(2)では国語の授業で深みのある授業展開になるのか、といった懸念があります。

 あと3週間ほどとなりましたが、アイディア出しに協力し少しでもよい公開授業に貢献したいと思っています。

ICT支援員の領分

今回の学校訪問で、支援員の仕事の守備範囲を改めて考えさせられました。

この学校の支援員さん、ITスキルがなかなか高く、それゆえいろいろな業務を頼まれてしまいます。

信頼されていることの証でもありましょうが、支援員を指導・監督する立場としてはちょっと複雑です。

報酬は業務の内容と釣り合っているか(ちょっとそうは思えない)、先生方との人間関係もあり断りきれない仕事もあるのではないか、等々。

もちろん、マネジメントする側の責任は自覚しております、はい。
今の業務内容を精査して契約更新の時に見直したいですね。

幸い現場の先生方から高い評価を頂いており、本人も情熱を持って取り組んでいるところが救いでしょうか。

まずは公開授業、成功させたいな。一緒に頑張ろうね!

学校訪問

本日、明日と支援員サポートのためにK市の学校を訪問しています。

この学校は、来月中旬に控えた公開授業に向けて準備に余念がありません。
今日も本校と分教室を結んで行うテレビ会議システムとコラボノートを使った授業のシミュレーションを行い、問題点の洗い出しをしました。

IWBとそこにつないだパソコン(IWB機)、子ども用タブレットパソコン、そして中央には煌々と燃えるストーブ(笑)。いや〜、寒かった。
この後、テレビ会議用マイクスピーカーとWebカメラなどを設置してシミュレーション開始。

頭の中で考えるのと、実際やってみるのとでは天と地ほどの差があります。今回の気づきはある先生の「参加している実感に欠ける。テレビの映像を見ているだけ。」というもの。

確かに、いくらテレビ会議システムを用いても児童生徒の参加を促す工夫がなければ、テレビ番組を視聴しているのと変わりません。この反省を生かして、授業プランを当日までにもっと練り上げなくてはなりません。

また、恐れていることのひとつに「機器の不調」があります。
前日まで何でもなかった機器が本番で突如動かなくなるという「マーフィーの法則」発動は例にこと欠きません。

これについてある先生の披露してくれたエピソードがおもしろかったので紹介します。

テレビ会議中、突如音声が入らなくなったそうです。半ばパニックになって、インターネット接続や、マイクボリューム/ミュートの設定を見直したが解決せず。
会議終了後に判明した原因は・・・マイクの電池切れだったそうです(笑)。

当日、不具合が発生した場合のチェック項目もリスト化しておくと重宝しそうです。

『「iPad教育」は普通の教科書より有効』って、ホント?

タイトルの記事はMSN産経より。

・『「iPad教育」は普通の教科書より有効

ちょっと待って欲しい。
この手の記事にありがちなのだが、比較の詳細が書かれていない。鵜呑みにはできませんね。

「ICT活用には教育効果がある」という統計を見たことありませんか? これ、実は一種のマジック。 どこが?と思われるかもしれませんが、肝心なのはデジタル教材(コンテンツ)の方が紙の教科書よりレベルが高いってことなんです。

現在、デジタル教材市場には各コンテンツプロバイダがこぞって自慢の製品を投入しています。もちろん、おもしろく、分かりやすい工夫が随所に。
つまり、優劣の構造は「デジタルvsアナログ」ではなく、「気鋭のコンテンツ(デジタル教材)vs 検定を通すためのコンテンツ(紙の教科書)」ということなのです。

デジタル教材を使うことで自ずとハイレベルの教材を与えられていたというのがタネ。
だから、対照実験を行うなら従来の紙教科書と新たに書き起こした図解たっぷり(マンガも)の紙教科書で比較しなければならない、ということ。おそらく後者の方が教育効果が高いという結果になるでしょう。

例えばこんなくだりが記事にあります。
『「生徒たちは、よりパーソナルな形で機器とのやり取りを行っている。参加度がより高い」と、アメリア・アーハート中学のコールマン・ケルズ校長は語っている。「学習が理解しやすい固まりで行われて行くので、学習範囲が莫大で手強いという感じを持たなくてすむ」と、デジタル・マーケティング・エージェンシーである米Organic社のマリータ・スカーフィ最高経営責任者(CEO)は語る。』

これは「インタラクティブ性」などデジタルの優位性も含まれていますが、教科書設計の問題に起因する部分もないですか?
iPadを手渡された場合、コンテンツの全体量は見えない。見えている部分に集中しながら先へ進めていく。一方、分厚い教科書を手渡される。その重量におののきながらページをぱらぱらめくると、自分にはとても理解できないような単語や記号がずらずらと目に飛び込んできて、気持ちをくじかれてしまう・・・。
これはやや極端な描写ですが、従来型の紙の教科書には教師のサポートがないと進められない感があると思います。たとえ、ドラえもんや鉄腕アトムがナビゲートしてくれるにしても。

なので、このiPadの記事もコンテンツを見ないことには、「iPadに効果があったのか」どうか分かりません。

もうひとつ、「効果をはかる」ことの難しさも指摘しておきましょう。
子どもたちの学習効果を「何で」はかります? 客観テスト? だとしたらテスト対策の演習をたくさんした方が有利ですが、そうなると教科書の優位性は?

少々意地の悪い事を書いてしまったかもしれません。が、私自身はiPadのようなデバイスが大好きな人間ですから期待している部分が多分にあるのです。

だからこそ客観的にその教育効果を見つめたいと思っています。

現場からの発信

私も現場には入っている方だと思いますが、より多くの現場を踏み、より多くの優れた事例に接したい、といつも思っています。

それがかなわない時は、ネット検索で、更新された記事が無いか調べてみます。

今日もこんな記事に出会いました。

携帯端末を使った授業(みやざき教育支援協議会)

いろいろ面白いことをされていて、こういうのを読むとこっちまでワクワクしてきます(笑)

でもポイントはここ。
『授業で使う分子模型の立体表示moieccule、小テスト用のタイマー表示、選択肢による正誤問題、元素図鑑の動画や反転表示など、確かに生徒たちが興味を引きそうなコンテンツが満載でした。実際の授業では、導入部などの10分程度で見せているということです。』

これだけ色々なコンテンツを用意しながら、導入部の10分程度の活用に絞って活用されている。

狙いすましてピンポイントで使う。これが肝です。

授業の組み立てに解は幾つもあるんですが、同じ意見を見つけると嬉しくなりますね。

iBooks Authorを使ってみた

iBooks Authorを使って、電子書籍を作ってみました。
お試しということで、内容は「ICT活用授業」を題材に、本文2ページという簡易版です。

ブックタイトルの入力後、「イントロメディア」といってビデオクリップを挟むことができます。とりあえず手持ちの公開研で撮影したiPadで児童が九九の練習をする様子を登録しました。

その後、チャプター、セッション、コピーライトのページ等を挿入できます。こちらにはKeynoteで作成したページをドラッグ&ドロップで簡単に図として貼ることができます。もちろん簡単なアウトライン機能も備えていて、チャプター、セッションは自動的に目次に反映されます。

電子教科書向けの機能も充実、まだ試してませんが下の「フォーマット」のメニューをごらん下さい。

「練習問題」という項目があり、チラ見した状態だとインタラクティブな問題作成が簡単にできそうなメニューがあります。この機能はまた機会をみて紹介します。
使い勝手は・・・慣れが必要ですね。例えば貼り付けた写真を回転させる方法が分からず、しばし立ち往生しました(苦笑)。「図形でマスク」する機能があるのに、「回転」が無いはずはない!と思い、探しましたよ。ちなみにその方法は図形を選択した状態で、[インスペクタ]→[位置と回転]→[回転]です。コントローラをドラッグする、もしくは数字を入力します。
慣れればかなり行けそうな気がします。

さて、このiBook Authorで簡単な電子書籍を作成し、サーバにアップロードしてiPadでご覧頂こうと考えたのですが、無理でした(笑)。仕様として、ibookstoreを利用するかメールで送信するかしかないんですね。冷静に考えたら、それはそうだと思います。
そこで参考までにPDF形式で書き出したものをアップします。

サンプル電子教科書

イントロメディアのビデオ部分はカットされ、索引が電子書籍版の形式と大幅に変わっていることをご了承下さい。

Apple、電子書籍制作アプリ発表

昨日「米アップル、教育事業に参入(朝日新聞)」などという記事をご覧になった方も多いことでしょう。
記事は「アメリカで19日、iPadを使った教育事業に本格参入と発表」と続きます。

アップルは(アメリカでは)かなり早い時期から大学にMacを導入するなど教育分野への進出が印象的でしたが、安価で使いやすいiPad2や近々の投入が噂されるiPad3といった端末、iTunesといったプラットフォームの充実を背景に大攻勢をかけるようです。

iPadには「iBooks 2」というアプリをインストールすることになりますが、注目は「iBooks Author」という電子書籍制作アプリも無料で提供されること。

アップルジャパンのサイトにはまだニュースが上がっていませんが、こちらのサイトで概要を知ることができます。

Apple純正の電子書籍制作アプリ「iBooks Author」のココがすごい!(AppBank)

私もまだチラっと見ただけですが、非常に簡単に電子書籍の編集ができるようです。しかも作成した電子書籍はiBookstoreで簡単に販売できるようになるとのこと(現在、日本での対応未定)。

iPadと言えばICT活用/支援授業の実証実験でも使われている端末。電子教科書や児童生徒が使う教材を、と考える教員や教育コンテンツホルダーは多いでしょう。

今後の動きに注目です。

HPのElitebook、フタ閉め時は注意!

HP(ヒューレットパッカード)のタブレットパソコン、Elitebook。

CPUに高速なインテルのiシリーズを搭載し、15インチ液晶、スタイラスペン内臓、タッチパッド+ポイントスティックとキーボードライト搭載などハイスペックなタブレットです。私も欲しい(笑)。

が、1点取り扱いに注意が必要です。以下のようなモニタガラスの破損が起こりやすいのです。

理由は下の写真のように、モニタ画面が曲がったままの状態でフタができてしまうこと。
(写真は分かりやすくするため、極端にフタを曲げた状態で撮影)

本体サイドの突起とモニタガラスがぶつかってしまうんですね。

メーカーには早急の対応を望むとともに、すでに導入されている学校ではフタを閉じる際の児童生徒への注意の徹底をお願いいたします。

ICT機器について(4)ータブレットPC

下の写真が2010年度、フューチャースクール推進事業で東日本エリアに導入された東芝「CM-1」です。
今回の訪問先も含め、その後も少なからず採用されています。
こんなパソコンを1人1台操作して授業を行うわけですから、私に言わせれば「うらやまし〜(笑)」

特長は、
(1)児童生徒が多少乱暴に扱っても大丈夫なように弾力のあるプラスチック素材でコーティングされている。
実際、私は児童が机上から床に落としたのを目撃しましたが、全く問題ありませんでした。

(2)180度回転するWebカメラ。
これはかなり使えます。通常のノートパソコンだとカメラが自分撮り用にモニタ上部に付いていて他の被写体が撮り難い。だからiPadなどは表と裏にカメラが2つ付いています。CM-1はカメラが回転することで両方の用途に対応しています。
写真やビデオ撮影も行えますから自然観察だけでなく、体育の姿勢確認、インタビューなどにも活用できます。

(3)比較的バッテリのもちがいい
プロセッサに省電力仕様のAtomを採用することで、夜間に満充電になった端末は再充電することなく通常の使用で一日使えます。

一方、短所として多くの先生方が挙げたのが以下の点。
(1)動作が緩慢
Atomは処理能力の高いプロセッサとは言えず、反応が鈍いと言われることもしばしば。
(2)モニタ画面が小さい
これもよく指摘されます。合わせて感圧式のタッチパネルの反応がイマイチという意見も。
(3)重い
確かに、iPadやAndroidタブレット、Windowsスレート端末と比較すると、小学生が使う端末としては重い部類だと思います。

東芝さんにはぜひ、この実績を踏まえ、ユーザの声をフィードバックした「CM-2」を市場に投入して欲しいものです。

本日の学校訪問

私は現在、フューチャースクールの用語でいうところのICT企画員的な業務もしています。関連するフィールドに入り、支援員にアドバイスをする、先生方の質問に答えるなどです。
今日はK市に移動し、特別支援学校にてICT支援員へのヒアリングとアドバイスを実施しました。

この学校では来月中旬に公開授業があり、その準備に向けて情報担当の先生を始めみなさん忙しくされています。

そんな中でひとつ提案したことがあります。
JR四国コミュニケーションウェアの「コラボノート」という製品。複数の児童生徒が自分の端末で入力した内容を共有できるという協働学習向けのアプリケーションです。

公開授業でこれを使って国語の授業をしたいと希望されてる先生がいます。授業の指導案を拝見したところ(まだ下書き状態でしたが)、「ICTありき」の授業になっていました。曰く、教科書の文章を読んだ感想を各自がコラボノートに入力し、電子黒板で共有、その後各自発表するというのです。

このやり方ですと、ノートに書いた感想を各自読み上げるケースとなんら変わらないわけで、ICTの強みを活かしているとは言いがたいですよね。

そこでこういう提案をしました。

まず、初出感想をコラボノートで共有する。次に、画面上で共有されている他の児童生徒の感想を読み、自分に欠けていた視点や他の児童の着眼点の面白さに触れてから、もう一度書き直す。読みを深化させるわけです。

これのどこがICT活用になってるかというと、コラボノートを活用しないケースでは
[感想の書き出し]→[(全員)発表]→[再・感想の書き出し]→[(全員)発表]という流れになり1時間の授業に収めることは不可能です。
一方、コラボノートを活用すると
[感想の書き出し]+[共有]→[再・感想の書き出し] という流れで1時間に収めることが可能になります。・・・もちろん、児童生徒の習熟にもよるのですが。

そして上記のポイントに加えて「離れている教室を結んだ授業」が可能!というのが何よりの目玉になります。ネットワークで結ばれた端末を使うので、物理的に1つの教室、1つの構内である必要はなくなります。
可能性としては、本校と分校を結んだ授業や、小規模校が他の地域の学校と結んで授業を行う(例えば北海道と沖縄の学校同士)ことで活気ある対話も可能になるのです。

このあたりの可能性の追求も、ICT活用授業の守備範囲なのです。