特別支援の手法 通常学級に

 本日(2012/4/13)付の読売新聞より『特別支援の手法 通常学級に』という記事。
 この読売の記事を読んで、こんなことを思いだしました。
 

 以前、短期間ではあったが障がいを持つ方々の支援団体をIT分野でサポートさせて頂き、その時にこんなことを学びました。

 『障がい者にやさしい施設は、一般の方々にとっても使いやすい』

 確かに、車いすが余裕を持ってすれ違える、広々とした廊下を歩くのは気持ちの良い体験でした。
 バリアフリー(障害を取り除く)の発想からユニバーサルデザイン(誰にとっても使いやすく)へ。
 これは新鮮な体験でしたね。

 ちなみに私が身をもってユニバーサルデザインを体験した宿がこちらです。

・「ピュア・フィールド 風曜日

記事にもあるように、「特別支援教育の手法を導入することで、授業が分かりやすくなり、子どもたちの集中力も高まる」効果はあるでしょう。
 そしてそれは特別なことではなく、「掲示物を教室の後ろに貼って授業中に気が散るのを防ぐ」「教師がジェスチャーを交えて理解を図る」といった事から始められるのです。

 教育のユニバーサルデザイン。

 この着想を普段着のICT利活用にぜひ生かしてほしいものです。
 

放課後、子どもの居場所

 今朝の朝日新聞オピニオン面。
 「下校チャイムが鳴った後」という見出しで、学童保育(放課後児童クラブ)に関する意見を3人の方がそれぞれの立場で述べていらっしゃいます。


(2012/4/12 朝日新聞紙面より)

 そのうちお一人は内閣府政策統括官の村木厚子さん。『後手に回って「小1の壁」』というキャプションで、保育所とシームレスに繋がっていない制度の不備を後手に回ったとしながらも、児童の放課後の受け皿整備が一歩前進した旨の発言をされています。
 共働きや片親の家庭が増加するという社会構造の変化の中で、保育所の整備は(保育所入所待機児童は依然として多いですが)進められてきましたが、小学校低学年児童の「学童保育」は後回しになったという現状があるようです。

 私も3年前、松山市の「放課後子どもの居場所づくりプロジェクト」開始に際し、ボランティアで参加する学生・一般の方対象に「聞くスキル」について講義をさせて頂いて以来、頭の片隅にあるテーマです。奇しくも本日、その時の関係者とお会いすることになっています。

 さて、私の関心事は「放課後の子ども居場所とICT」(笑)。

 例えば、子どもの居場所になる教室にデジタルドリルを自由に使える環境を用意することで学力向上に繋がった、などという事例を聞きますが、私は賛成ではありません。
 だって放課後ですよ?
 学校の宿題をやるならまだしも、そういう機器があって「勉強しなくちゃ」という空気になってしまうのはいかがなものか、と。場所は学校の教室を借りることがあるかも知れませんが、学校の延長にはしたくないですね。
 また、学科を教えられる教員がついて指導できるならまだしも、機器に子どものお守りをさせるようではという懸念もあります。現在の教材レベルは優れた教員の足下にもおよびませんから。

 ええと、子どもの居場所とICTの話でしたね(笑)。

 実はノーアイディアです(爆)。

 漠然とICT、コンピュータの力を活用できるのでは? と考えているだけです。
 昔の子どもがしていたような野外での遊びに代わることをコンピュータを利用してできないか? 例えば、プログラミングも遊びのひとつと捉えられないか。最近は以前も紹介したビスケット等のグラフィカルユーザインタフェースを用いたプログラミング環境が無償で提供され始めています。例を挙げます。下のケロケッツはゲーム作成に特化したWebサービスです。

・「ビジュアルプログラミング言語VISCUIT
・「KEROCKETS(ケロケッツ)

 指導者、機器管理、子どもの健康管理など問題はあるでしょうが、未来のクリエーターに繋がる可能性はあるのではないでしょうか。

 この「放課後の子どもの居場所」は、成功例もあるようですが様々な要因や思いが絡んでいて難しいのが現状のようです。
 教育評論家・元小学校教員の親野智可等さんによれば「日本が突き当たっている放課後の子どもの問題は、実は先進国に共通する悩みです。米英仏独や豪州、韓国でもよりよい過ごし方を模索しています。」だそうです。
 「世の中のお父さんたちは、子どもの頃、友だちといっぱい遊んで楽しい放課後を過ごした記憶があるはずです。今の子どもたちにも同じ思いをさせてあげませんか?」という親野さんで、このエントリを結びたいと思います。

フューチャースクールと災害時対応

 今年の1月、某中学校の支援員研修で気になることがありました。
 教員用のPCがデュアルブート構成になっていたのです。

 セットアップを担当した方に聞くと「詳しいことは分からないのですが・・・」と前置きしつつ、「災害時の対応らしいです」と話してくれました。

 この時想像できたのは、
 ・学校が災害時の避難場所として指定されている地区は多い
 ・携帯電話が不通になってもインターネットが使用できた事例は多い→タブレットPCなどを災害時の情報伝達手段として利用する
 ・タブレットPCはバッテリ駆動なので、ネットワーク機器のバックアップ電源があれば(そのエリアのみ)停電でもシステムは動作する
といったことでした。

 これについて「ガイドライン2012(素案)の概要」で言及されています。

 ・「フューチャースクール推進研究会(第3回)」の資料5「ガイドライン2012(素案)の概要」の第5章。

 この資料によると、上記の他に
 ・持ち込み端末の接続
 ・タブレットPC等のバッテリを活用したUSB経由の充電
等も盛り込まれています。

 せっかく巨額の予算を投じて機器を設置するわけですから、+αの予算で災害時に役立つシステムができるのはよいことです。
 ただし、授業の中でも機器トラブルは絶えませんので、非常時に信頼性のある備えとするために、検証をしっかりして頂きたいと思います。

『子ども半減 どんな学校』(朝日新聞)に思う

 2012/3/25の朝日新聞一面の記事『子ども半減 どんな学校』を読みました。
 ICT利活用の視点から思ったことをメモしておきます(以下、『』内はすべて朝日新聞からの引用)。

 『14歳以下の人口が50年後に半減するとの推計に基づき、過疎地の小規模校が続出すると判断。小中学生が同じ教室で学ぶ複式学級や、高校教諭の小中学校への派遣など、現行制度の枠を超えた仕組み作りをめざす。』

 ということで、かなり先の話とは言え人口減による影響は待ったなしの情勢です。これは教育のみならず、衣食住に関わる経済活動すべてにおいて言えることでしょうけれど。ちなみに関連記事に児童生徒数減少の予測が出ていました。

 思い描かれるイメージの部分を抜粋します。

『「未来の学校」は、こんなイメージだーー。 高齢化が進む山間部の小村。6〜15歳の子ども20人が小中一体型の村立学校に通う。学年の垣根はなく、算数が得意な11歳の子は13歳の子と一緒に数学の授業を受ける。5人の教員が複数教科を掛け持ち、音楽や美術は「芸術科」にまとめ、全学年の共通授業。大人数の方がやりやすい体育の授業は、隣村の学校と合同だ。帰宅後はパソコンを使った通信教育。各自の学習進度に合わせた宿題が出て、採点結果や指導法が教員に送信されるーー。』

 どうです? まさにICTの出番です(笑)。
 複式学級では、おのおのの児童生徒がパソコンで自分の課題に向かい合います。これにはフューチャースクール特別支援学校等で培ったノウハウが役に立つはずです。また他のフューチャースクール実証校では、タブレットPC持ち帰り実証実験も始まっています。
 また離れた教室を結ぶ遠隔授業も現在実証が行われ、日常的に本校と分教室を結ぶ試みも進んでいます。

 時間と空間を越えて場を共有できるのがICTの強みであり、個々の児童生徒に応じたコンテンツ提供のノウハウが蓄積されれば上記のかなりのことは実現可能です。ただ、「指導法が教員に送信される」は余計です(笑)。こういう部分にカチンとくる人は必ず居ますから。

 ICT活用授業の研究成果が上手にフィードバックされ、本当に使える仕組みが構築されることに期待です。

最後の京都出張

 私事ながら、今月末で現在の会社を退社します。

 ということで、今挨拶回りがけっこう入っていたりするわけでして。

 本日は定例会と引き継ぎという用向きで京都出張がありました。

 とりあえず公開授業をきちんとこなし、来年度に向けた準備をするというロードマップ上にいる学校を置いて出て行く、というのは心残りではあります。が、しようのないことでもあります。

 やるべきことをやり、伝えるべきことはきちんと伝えた上で私は次のステップを目指します。

 お互い進んでいけばまた道が交わることもあるでしょう。
 その時にはまたなんらかの知見を伝えられるよう精進していたいですね。
 また、業務は終わっても繋がった人と人の縁は簡単に切れないとも思っています。

 支援員のI君、また会えますよ。

 その日を楽しみに、今はお互いのやるべきことをやりましょう。
 先生方のサポートよろしくお願いします。

 それでは。また会う日まで。

公開授業の前日

 いよいよ明日となった公開授業。
今日は最終調整に現地入りしました。そこで思わぬ気づきを得ることができました。

 今までのエントリをご覧頂いている方は、2/17という日付とK市という情報から、私が特別支援学校のフューチャースクールで支援企画員をしてるんだ、と推察されていることと思います。ご明察。
 そこで、明日に向けた準備について、午前中に支援員から報告を受けました。

 彼の話によると、明日サポートが必要になりそうな先生がいる。そのS先生はIWBを使って、用意した画像を提示、切りかえ、拡大して書き込む、というオーソドックスなスタイルで授業をされるとか。
 ところが画像切りかえは、Windows のビューワーでカーソルキーで移動するのではなく、画像ごとにビューワーを起動しておき、複数ウィンドウを [Windowsキー]+[Tab]のショートカットで・・・そう、エアロフリップで切りかえたいと希望されている。

 これがパソコンの得意な先生なら「どうぞ、どうぞ」となるんですが、サポートが必要なS先生。
 ICT活用で画像切りかえは頑張る所じゃないし、授業で無理に多くの機能を使う必要はなく、むしろ公開授業なんだから失敗するリスクを減らした方がいいんじゃないか、と支援員にはアドバイスしました。

 さて、お昼休みを挟んでコラボノートを使うという別のクラスの操作確認に立ち会いました。
 コラボノートの画面をIWBに映して「これでは字が小さくて読めないね」とおっしゃるM先生。
 「各生徒のタブレットパソコンには同じ画面が表示されていますから、IWBで読む必要はないんじゃないでしょうか」と私。
 「う〜ん、分教室でIWBの大きい画面を見て、子どもが喜んでくれれば、と思ってね」
 私の心の中で、形にはならない、小さな光が弾けました。

 さて放課後。S先生が支援員を呼びに来ました。なんでも、明日使用するファイルが消えてしまったとか。
 私も支援員に同行して教室におじゃましました。
 これが後から考えると偶然とは思えないトラブルでした。

 支援員さんが、ファイルをバックアップから復元し、5枚の絵をそれぞれビューワーで起動して、さあエアロ! ・・・なぜか不調でパソコンを再起動(笑)
 気を取り直し、再起動後にエアロ!

 今度は成功です。S先生は嬉しそうに画像が整列し、ダンスする様をながめて「これだよ、これ! ピロピロピロ・・・」

 その模様を眺めて昼間の出来事がフラッシュバックし、S先生がエアロにこだわった理由がようやく閃きました。

 特別支援学校、特に分教室(=病院内)には病気で長期入院している子どもがいます。
 中には重篤な病状の子もいて、つらい治療や孤独に耐えている。
 子どもたちの目が輝くといいね。笑顔が見られるといいね。
 そんな言葉を以前他の先生から聞いたことを思いだしました。

 いわゆる一般校のみを見てきた私にとって、ICT機器は一般の教具であり、特別扱いはせず、収まるべきところに収まってその役目を果たせばいいし、まずはそこを先生方にご理解いただきたいという気持ちが強かったのでした。

 しかし、授業を受ける子どものタイプは様々です。今回のように、ちょっとした提示の仕方で小粋なサプライズを演出し、それが一瞬でも子どもたちの目の輝き、笑顔に繋がるなら、悪いはずがありません。授業が滞ってしまったら・・・その時はその時です(笑)

 まだまだ修業が足りませんね、ああ、恥ずかしい。
 でも、今気づいてよかった。今日はすばらしい日となりました。ありがとうございます!

 明日は全力でサポートいたします。

インフルエンザにご注意

本日、支援に入った学校の支援員さんから朝一番に電話がありました。移動中で出られず、メールで問い合わせたところその返信はショッキングなもの。

なんと、39℃の熱を出して病院にいるというのです。インフルの悪寒、じゃなくて予感。
うーん、困った。10日後に迫った公開授業に向けて打ち合わせができない。作業もできない。

でも不幸中の幸いは、学校で体調を崩さなかったこと。児童生徒にもらうならまだしも、率先して持ち込んじゃダメですよね。

それでも、最近立て込んで頑張り過ぎの感があったから、気持ちを切り替えてゆっくり休んでね、Iさん。