ICT活用の課題

 過去記事になってしまいますが、昨日、CECの発表会がありました。

・「平成23年度「教育の情報化」推進フォーラム

 私は出席しませんでしたが、Twitterで流れるツイートをチェックしていました(ハッシュタグ #cec2012)。

 やはりみなさん課題と考えられてることは同じで、職業としてICT支援員をどう位置づけるか(有期雇用)、ICT支援員の資質とは、ICT支援員の連携、特別支援学校のICT活用とこのブログで書いてきたことと重なっています。

 課題は抽出されつつあるので、今後どういうアクションに結びつけていくのか。

 そろそろそういう時期が来ています。

2回目の協議会に参加

 先月無事に公開授業を終え、本日は2回目の協議会がありました。

 特別支援学校ということで、ICTで子どもたちのモチベーションを引きだせた話に軸足があったのが一般校との違いであり、印象的でした。

 中でも、先月末に前籍校(以前在籍していた学校)とテレビ会議システムを通じて交流授業を行った児童は、先生方の想像以上にモチベーションが上がったそうで、今後も交流授業にどんどん活用していきたいとの話に胸が熱くなりました。
 そして、その児童は今日、手術を受けたのだとか。
 早く良くなって欲しいと願わずにはいられません。

 座長の先生も仰ってたように、ICT活用は長期欠席を余儀なくされる子どもにとってより意味のある存在だと思いますし、フューチャースクールの取り組みがより早い一般化への契機になって欲しいものです。

O校長の言葉

 昨日の訪問、慌ただしい帰り際にO校長がおっしゃっていたことをもうひとつ。

 「児童ひとりひとりに1台のタブレットPCを与えて意味が出てくるのは、家からもクラウドに接続して学校の続きをできるようになってこそ。家で接続できなければ、グループに1台のPCでいい。」

 このセリフを聞いてハッと思いだしたことが。

 教育スクウェアの思想として「学校と家の学習環境をシームレスに結ぶ」というのがあります。

 教室で、先生が教えてくれたように、教室と同じ教材が家でも使えたら家庭学習に対する敷居は相当下がるでしょうね。
 (ここでは、家でもパソコンを使って学校の延長で学習することの是非には触れません。これだけでひとつのテーマになってしまいますから。)
 また、子どもたちの学習効果も上がると思うのですがいかがでしょう?

 現時点ではコストの問題はもちろん、ICT活用教育に賛成でない親御さんもいて、正直難しい面もあります。

 一日も早くICT機器もありふれた教具のひとつとして認知される日が来ることを願っています。

久々の教育スクウェア

当社で支援員を派遣しているK市の小学校からヘルプが上がり、久々の現地入り。
本日は授業参観で2クラス同時にICT支援を行うため、急きょ訪問が決まりました。

この小学校は常にハイレベルな授業をされているA先生、ICT活用に確かな見識をお持ちのO校長をはじめ、意識の高い先生方が多く、いつ行っても勉強になります。

 さて、本日は算数の授業参観で使ったソフトウェアについてO校長から意見を頂戴しました。

 「立体図形のコンテンツはデジタル化しなくてもよかったんちゃう? 前の面積のはよかったけど。」

 ん〜、確かに(苦笑)。
 コンテンツの完成度は置いとくとしても、児童がタブレットを各自操作して立体(四角柱、円柱)の頂点、辺、面の数やその関係を見いだす教材としてはデジタルは難しい。
 難しさは2点あると思います。

 ひとつめ。元来、三次元のものをディスプレイに二次元投影し、それを脳内で三次元に組み立て直すという認知が難しい。その点、面積のコンテンツが好評だったのは、もともと二次元の図形をディスプレイで眺めるだけだから。

 ふたつめ。三次元の図形を画面内でグリグリ回す操作は単純とは言えず、操作に神経が行く分、本来の課題に向かうべき集中力が削がれてしまう。

 結論として、立体図形を扱うには現状、実物模型に分があるという話に落ち着きました。
 ちょっとこのままでは悔しい気もするので、画期的なコンテンツのアイディア出し(特にインタフェース周り)をしたいところです。

 それにしても・・・授業をのぞいていた時間が数分程度だったにも関わらず、上記の点を指摘したO校長恐るべし、です。

ICT支援員に身につけて欲しいスキル

このところ支援員さんに、ぜひ身につけて欲しいと痛感しているスキルがあります。
これはフューチャースクールをはじめ実証実験中だから、という意味合いが強いのですが。

それは・・・報告を書く力。

支援員さんにとって難しいのは、というより誰にとっても難しいのは、いかに他人にとって分かりやすいレポートにするかということ。
自分は当事者だからどう書こうが自明ですが、現場を知らない人が読んだ時に教室の情景が頭に浮かぶように書いて欲しいと思います。

具体的には、自分自身の所感を書く前にどういう具体的なことがあったか、そこを書くだけでも格段に読み手に伝わりやすくなります。

児童生徒と同じで、実感してもらうことができれば変わるかな、と思います。

私も伝え方を工夫する余地があるということでしょうね。

プチ公開授業を終えて

昨日のエントリで紹介した、視察に向けた授業が無事終了しました。

懸念されたネットワークの遅延もなく、本校と分教室を結んで滞りなく道徳の授業が進みました。内容は「命の重さを考える」というテーマ。
内容の重さにも関わらず、生徒の奇想天外な発想に視察の方々は感心したり、吹き出したり。
活気あるいい授業だったと思います。

担当のS先生はベテランの味を存分に発揮し、落ち着いた授業運び。
繰り返しになりますが、ICT活用以前の授業力が肝になります。

分教室の生徒の、うれしそうな様子が印象的でした。

本日の学校訪問

 今日もK市の学校を訪問しました。
 明日、視察団の訪問と公開授業があるため、放課後に環境の最終確認をしました。

 本校と分教室をNTTアイティの「ミーティングプラザ」で結んで遠隔授業を行います。
 このミーティングプラザというASPサービス、以前も紹介したと思いますがなかなかスグレもの。
 Webブラウザが使える環境だと、だいたいどこからでも利用することができ、Webアプリケーションなのでプラグインの他に特別にインストール作業は必要ありません。ポート開放といった作業も不要です。

 このミーティングプラザを用いて、PowerPointのスライドを分教室の子どもたちにも提示して(「ファイル共有」という機能)授業を行う予定。

 ですが、ひとつ問題が持ち上がりました。利用時の快適さは使用するネットワークの帯域に左右されます。
 ファイル共有を行う場合、授業の時間帯や共有するファイルのサイズによっては狙い通りの品質の授業が行えない可能性が出てきました。

 解決策は2つ。ひとつは帯域を増強(もしくはネットワークの空いている時間帯に授業を実施)する。
 もうひとつは、授業で使用するファイルをあらかじめローカルのパソコンにコピーしておく。

 帯域が本当にひっ迫するなら後者です。先生の指示で子どもたちがファイルのページを表示する不便はあるかもしれませんが。もっと言ってしまうと、資料をコピーしてあらかじめ配布するという手も考えられます。

 しかし、明日の公開授業は視察ということもあり、ぜひミーティングプラザの機能で完結させたいという意向があるようです。

 明日はネットワークが混雑しないことを祈りますが、普段の授業では柔軟な、無理をしない対応が必要と思います。
 ICT活用の最適化は今後の課題でしょう。

教育スクウェア×ICT フィールドトライアルの「ビスケット」授業

 神奈川県の小学校で行われた「ビスケット」授業の模様が記事になりました。

 「ビスケット」とは、NTTグループが行っている「教育スクウェア×ICT フィールドトライアル」の目玉コンテンツのひとつで、簡単に言うと「グラフィック要素を視覚的にプログラミングできる言語」。アニメーションやゲーム作成が容易にできます。
LOGOを懐かしく思い出した方もいるかもしれません:)

 神奈川県の小学校の授業風景はこちら↓
・「小5を対象にタブレットでプログラミング体験授業

 以前に行われたアニメーションを作成する授業もリンクを貼っておきます↓
・「新潟県関川小の事例
・「秋田県水沢小の事例
・「鹿児島県那間小の事例

 こうして並べてみるとイメージがつかみやすいですね。

 これらの作品を眺めて、使ってみたいと思われた方もいるのではないでしょうか。
 トップページはこちらになります。ぜひ、のぞいてみて下さい↓
・「ビジュアルプログラミング言語VISCUIT(ビスケット)

 というか、上記小学校のリンクがこちらの下部にありますね。
 が、せっかくなので残しておきます(苦笑)。

公開授業を終えて

 昨日報告したように公開授業を終えて一段落。

 備忘録を兼ねて、印象に残った点をメモしておきます。

 まず本校と分教室を結んだ遠隔授業。
 一般には他校と結んでお互いの地域を紹介しあう「交流授業」に取り組む学校もありますが、特別支援学校ではより切実。病院に設置された分教室と結んで一体感のある授業、わくわく、ドキドキ感のある授業を行うことは非常に意味があるようです。

 実際に昨日行われた理科と国語の遠隔授業では(私は他クラスのサポート、参観で実際には見ていませんが)、分教室の子どもは大喜び、それをご覧になっていた親御さんも喜ばれていたそうです。

 一般校の場合、少人数校が他校と結ぶことで活気ある授業になることが多いようですが、それを何十倍にもしたもの、と考えるとよいかもしれません。

 加えて、病院には持ち込みできる物が制限されているため、理科の「植物の呼吸」といった実験などを分教室で行う場合、例えばミカンは持ち込めるが、じゃがいも(土がついている)は持ち込めないといった制約があり、本校の実験器具をネットワーク経由で操作する、センサーを読み取ることで、今まではできなかった実験に参加できるようになる子もいます。

 公開授業後の全体会で、国立特別支援教育総合研究所の滝川先生は「教室に在籍してはいるが、長期入院をしている子どもたちをICTで救って欲しい。自宅療養になると教育が受けられなくなる。」といった趣旨の発言をされていました。また、「病気だからこそ、受けることができる授業がある」と熱弁されていたのが印象的でした。

 ICT教育はコンピュータを使うことで、個々の児童生徒の進度に合わせて未学習分野や苦手分野をサポートすることができます。
 フューチャースクールの取り組みが、このあたりのすそ野を広げる一石になればと願います。