HPのElitebook、フタ閉め時は注意!

HP(ヒューレットパッカード)のタブレットパソコン、Elitebook。

CPUに高速なインテルのiシリーズを搭載し、15インチ液晶、スタイラスペン内臓、タッチパッド+ポイントスティックとキーボードライト搭載などハイスペックなタブレットです。私も欲しい(笑)。

が、1点取り扱いに注意が必要です。以下のようなモニタガラスの破損が起こりやすいのです。

理由は下の写真のように、モニタ画面が曲がったままの状態でフタができてしまうこと。
(写真は分かりやすくするため、極端にフタを曲げた状態で撮影)

本体サイドの突起とモニタガラスがぶつかってしまうんですね。

メーカーには早急の対応を望むとともに、すでに導入されている学校ではフタを閉じる際の児童生徒への注意の徹底をお願いいたします。

ICT機器について(4)ータブレットPC

下の写真が2010年度、フューチャースクール推進事業で東日本エリアに導入された東芝「CM-1」です。
今回の訪問先も含め、その後も少なからず採用されています。
こんなパソコンを1人1台操作して授業を行うわけですから、私に言わせれば「うらやまし〜(笑)」

特長は、
(1)児童生徒が多少乱暴に扱っても大丈夫なように弾力のあるプラスチック素材でコーティングされている。
実際、私は児童が机上から床に落としたのを目撃しましたが、全く問題ありませんでした。

(2)180度回転するWebカメラ。
これはかなり使えます。通常のノートパソコンだとカメラが自分撮り用にモニタ上部に付いていて他の被写体が撮り難い。だからiPadなどは表と裏にカメラが2つ付いています。CM-1はカメラが回転することで両方の用途に対応しています。
写真やビデオ撮影も行えますから自然観察だけでなく、体育の姿勢確認、インタビューなどにも活用できます。

(3)比較的バッテリのもちがいい
プロセッサに省電力仕様のAtomを採用することで、夜間に満充電になった端末は再充電することなく通常の使用で一日使えます。

一方、短所として多くの先生方が挙げたのが以下の点。
(1)動作が緩慢
Atomは処理能力の高いプロセッサとは言えず、反応が鈍いと言われることもしばしば。
(2)モニタ画面が小さい
これもよく指摘されます。合わせて感圧式のタッチパネルの反応がイマイチという意見も。
(3)重い
確かに、iPadやAndroidタブレット、Windowsスレート端末と比較すると、小学生が使う端末としては重い部類だと思います。

東芝さんにはぜひ、この実績を踏まえ、ユーザの声をフィードバックした「CM-2」を市場に投入して欲しいものです。

本日の学校訪問

私は現在、フューチャースクールの用語でいうところのICT企画員的な業務もしています。関連するフィールドに入り、支援員にアドバイスをする、先生方の質問に答えるなどです。
今日はK市に移動し、特別支援学校にてICT支援員へのヒアリングとアドバイスを実施しました。

この学校では来月中旬に公開授業があり、その準備に向けて情報担当の先生を始めみなさん忙しくされています。

そんな中でひとつ提案したことがあります。
JR四国コミュニケーションウェアの「コラボノート」という製品。複数の児童生徒が自分の端末で入力した内容を共有できるという協働学習向けのアプリケーションです。

公開授業でこれを使って国語の授業をしたいと希望されてる先生がいます。授業の指導案を拝見したところ(まだ下書き状態でしたが)、「ICTありき」の授業になっていました。曰く、教科書の文章を読んだ感想を各自がコラボノートに入力し、電子黒板で共有、その後各自発表するというのです。

このやり方ですと、ノートに書いた感想を各自読み上げるケースとなんら変わらないわけで、ICTの強みを活かしているとは言いがたいですよね。

そこでこういう提案をしました。

まず、初出感想をコラボノートで共有する。次に、画面上で共有されている他の児童生徒の感想を読み、自分に欠けていた視点や他の児童の着眼点の面白さに触れてから、もう一度書き直す。読みを深化させるわけです。

これのどこがICT活用になってるかというと、コラボノートを活用しないケースでは
[感想の書き出し]→[(全員)発表]→[再・感想の書き出し]→[(全員)発表]という流れになり1時間の授業に収めることは不可能です。
一方、コラボノートを活用すると
[感想の書き出し]+[共有]→[再・感想の書き出し] という流れで1時間に収めることが可能になります。・・・もちろん、児童生徒の習熟にもよるのですが。

そして上記のポイントに加えて「離れている教室を結んだ授業」が可能!というのが何よりの目玉になります。ネットワークで結ばれた端末を使うので、物理的に1つの教室、1つの構内である必要はなくなります。
可能性としては、本校と分校を結んだ授業や、小規模校が他の地域の学校と結んで授業を行う(例えば北海道と沖縄の学校同士)ことで活気ある対話も可能になるのです。

このあたりの可能性の追求も、ICT活用授業の守備範囲なのです。

支援員さんの不安なこと(2)

昨日に続き今日もICT支援員研修でした。
今回の学校については、集合型事前研修はこの2日間のみです。IWB、デジタル教科書、実物投影機、協働教育アプリケーション等の基礎操作と連携を確認しました。
あとは現地に戻ってから「頭で考える前に手が動く」ようになるまで触りまくるだけです。

研修終了間際に話したところ、やはり月末に控えた教員研修が不安なようです。

でもそれは支援員のみなさんが通ってきた道。初めて先生方の前に立ち、説明するわけですから不安がない方がおかしい。それが当たり前の反応です。

その不安を克服するように、とにかく機器に触れて欲しいですね。ICT活用の事例紹介や有効活用のためのアドバイスなどはいくらでもできますが、機器を皮膚感覚で操作できるようになるには自分が多くの時間触れあうしかありませんから。そしてマニュアルに記載されていない(マニュアル化できない)この皮膚感覚こそ、初期段階で先生に操作のコツを教える上で非常に大切なのです。

パイロットの飛行時間や、ダイバーの潜水本数と同じことです。ある程度の数(時間)をこなすと見えてくる世界が違ってきます。
繰り返しになりますが、経験の浅い支援員は多くの機能を使いこなすので精いっぱい、またマスターすると嬉々として使わない様々な機能を先生に紹介しがち。いいんですよ、自分が知っている分には。
ステップアップした支援員は授業の流れの中で必要な機能に絞って先生に提案することができます。例えばデジタル教科書の機能でいうと、「拡大」と「ペン」 です。導入初期であればあるほど、この絞り込みが大切です。

この2日間で学んだことを徹底反復して、教員研修に臨んで欲しいと願っています。

支援員さんの不安なこと

本日、研修でお会いしたICT支援員さんは女性の方。

どんな不安を抱えているかヒアリングしてみました。
様々な機器の使い方や、授業の構成が分からない不安の言葉が返ってくると思っていたら・・・

「小学校と違って中学校だから、子どもたちが素直にパソコンを操作して勉強してくれるか不安」とのこと。

この回答には意表をつかれましたが、「確かにその心配はするだろうなあ」と思い直しました。
今日はすでに実施されているフューチャースクールのビデオも見てもらいましたが、小学生が元気よく授業を受けている場面がほとんど。 中学生ではこうはいかないと感じたかもしれません。

でも心配ご無用。それは見かけだけです!

中学生といっても、外見よりずっと子どもらしさを持っている生徒が多いのも事実。 ICTを上手に活用した分かりやすい授業、魅力的な授業にはきっと反応してくれますよ。
それに先生方や、支援コーディネータもついていますから。

2年目の今年度からは中学校と特別支援学校のフューチャースクール推進事業も始まり、同様の不安を抱えている支援員さんも多いのかな。

きっと大丈夫、一所懸命な支援員さんはどこの学校でも「先生!」って慕われてます。

ICT機器の持つパワー

普段からゲーム機器やパソコンに慣れ親しんでいる子どもたちは、ICT機器やシステムを使いこなすのが早いです。そして私たち大人が考えている以上にパソコンやIWB(電子黒板)を用いた授業を楽しみにしています。

こんな場面を目撃したことがあります。
フューチャースクールの1年生のクラス、初めてタブレットパソコンに触れた時のこと。充電保管庫から真新しいパソコンを取りだして自分の席に運んできた時のまぶしい笑顔。
ひととおりの使い方説明の後、タブレットパソコンに慣れてもらうために、Windows標準アプリの「ペイント」で お絵描きをしてもらいました。隣近所でわあわあ言いながら使い方を教えあい、絵を描いている児童たち。
熱気が満ちている教室で、中には夢中になるあまり涎をタブレットのスクリーンに垂らしながら夢中でお絵描きする子も(笑)。

このような熱気はいつまでも続きませんから学習の駆動力、モチベーションとして期待し続けるのは無責任の誹りを免れないでしょう。先生方も「ただ使ってみる」段階から徐々に通常授業の中で「効果的に使う」教具の一つとして飼いならしていく必要があります。

しかしちょっと機器やデジタル教材を触った程度で「これは使えない」と決めつけてしまう先生もいて残念に思うこともあります。

「黒板とチョークがあれば授業はできる」
確かにそうかもしれません。校務に追われて忙しいのも分かります。それでもICTを使うことで教育効果を高められるケースも少なくないはずです。
またデジタル素材は再利用が容易ですから、きつい洗礼を受けた後で恩恵を被る場面も少なくないと思います。

ICT支援授業も緒に就いたばかり。実りあるものにしていくためには、使ってみてどうなのか知見を集め、共有していくしかないでしょう。
ぜひ使える場面から使っていただけたらと切に願います。

そしてそれをサポートする大切な役割をICT支援員は担っているのです。

学校現場の著作権

来週早々に、ICT支援員の研修を行います。その打ち合わせの席で言われたのが「著作権の研修も盛り込んで欲しい」というもの。

かつて学校と役所は著作権の無法地帯と言われた時期もありましたが、随分変わったなあという印象です(笑)。

著作権自体、議論の余地を多く残しており、またネズミの国の影響で映画の著作権が50年から70年に延びたなどという話がまことしやかに語られもするブラックな世界。

授業で使うために先生自ら必要部数のコピーを取り児童生徒に配るのはオッケーだが、IWBで提示する為にスキャンしてサーバに保存するのはグレー。
なぜかというと、他の先生も使う可能性があるから。

著作権法第35条では許諾なしの複製は「授業を実際に行う人」にしか認められていないんですね。
だから、ICT支援員が教員の代わりにコピーするのも、厳密に言うとグレーです。おちおちコピーも頼めません。

この辺り、現場の実情を考えると更なる法改正が必要ではないでしょうか。

ICT支援授業に関する誤解

本日、K市のある学校をICT支援員の指導&サポートで訪問しました。

ここの支援員のITスキルは高い方。システムの使い方からカスタマイズまで、自分で調べてどんどんやってしまう。頼もしい人材だ。

しかし「子どもたちを教えるということ」に関してはまだ研修しきれておらず、今日もひっかかる言動が2点ありました。

まず児童生徒ひとりひとりに貸与されるパソコンを強制的に操作できなくする「操作ロック」ボタンに抵抗感がないこと。

私はいくつかの現場で、数多くの授業参観を行ってきましたが、「操作ロック」ボタンを使用している先生を見たことがありません。先生は授業が中断することはあっても粘り強く言い聞かせて指導する。
だから小学校にあがったばかりの1年生も1学期が終わる頃には先生の説明を聞く時は「手はおひざ」に置くことができるようになるのです。
これは教育の根幹に関わる見過ごせない点だと思います。

もう 1点。多くの機能がカスタマイズされ削られて、納品されたアプリケーションを見て「ほとんど授業で使えないものになってしまいました」との発言。

違うよ。機能の多さ=授業の豊かさではないよ。

私的には、削られて痛い機能もありましたが児童生徒のパソコン画面をIWBに転送する機能は生きており、「これを活用できれば」という見立て。

以前のエントリでも書きましたが、デジタル教科書の多機能さがよい授業に直結するわけではありません。新人教師がデジタル教材を使ったからといって、すぐにベテラン教師と同じレベルの授業ができるわけではないのです。

今はプロジェクトの立ち上げで、機器やシステムの学習に大わらわ。こんな話をじっくりする時間はなかなか取れないけれど、次回の訪問ではしっかり話したい、話さなければと意識しました。

65インチIWBの威力

本日、T市の小学校へ教員向け研修で伺いました。
この自治体は2つの小学校がICT支援授業に取り組んでいます。

特長のひとつは65インチという、よそではなかなかお目にかかれない大サイズのIWB。50インチを見慣れた目にはかなり大きい。
教育委員会の方の鶴の一声で決まったそうです。

こちらがその様子。

この部屋は20人教室ですが、後ろからでも充分見やすい大きさです。

教室の広さ、児童生徒の人数にもよりますが、今後IWBの導入を考えている学校には、ぜひ65インチサイズを検討して頂きたいですね。

ICT機器について(3)ー実物投影機

「実物投影機」なんて聞くと「すごいことができる機器?」なんて勘違いしちゃいそうですが、「書画カメラ」ともいって要はカメラです(笑)。
現場でよく目にするのはELMOの機器ですね。価格を見て高いと思った方、ご心配なく。パソコンに接続するWebカメラでも代用できます(数千円程度)。ただし、解像度、照明の有無など性能が別次元なので専用機をオススメします。

教室で使用する意味・効果は高く必須のICT機器です。
パソコン、プロジェクタ、実物投影機を「ICT三種の神器」と呼んでもいいのではないでしょうか。電子黒板(IWB)も普段はプロジェクタ用途でしか活用されてない先生も少なくないことですし。
このあたりICT活用教育の持続可能性(サステナビリティ)とも絡む話ですが、また機会を改めて書きたいと思います。

さて、その用途ですが前のエントリ(「ICT機器について(1)-電子黒板」)でも紹介しましたが、

  • 習字の時間に先生の手元を拡大して見せる
  • 裁縫の針の使い方や包丁の使い方を実演して見せる
  •  黒板用ではなく児童が使用しているものと同じコンパス、三角定規を使って見せる
  • 教科書を投影し、児童の目線を上げられる
  • 教科書に付箋を貼ってポイントを隠すことで習得・思考、はがして確認できる
  • 児童生徒がその場でまとめたノートを投影してクラスで共有

といった使い方があり、工夫しだいでは準備の手間を最小に抑えつつ、授業に効果的に活用できます。ポイントは「1教室1台」設置ですね。

そうそう、私が参観した授業でこんなことがありました。

算数の授業で「定規を正しく使って長さをはかる」単元でのできごと。
先生が児童を指名し、長さをはかる様子を実物投影機でプロジェクタに映し出すという場面(普通に机上で作業する、その様子をクラスで共有できるのが実物投影機の魅力)です。
プロジェクタに児童の手元が映り、あれこれ考えながら定規を当てる様子が見えていましたが 、突然、画面が真っ黒に。「これは大変!機器の不具合?!」と支援員も児童の元へ駆け寄ったのですが、原因は・・・夢中になった児童が前かがみになりカメラの下へ頭を突っ込んだためでした(笑)。
画面が消えた!と思ったのは、実は児童の後頭部が映っただけだったということが判明し、教室は笑いの渦に包まれたのでした。

実物投影機と連動するソフトウェアも使い勝手がよくなり、入力装置としても非常に優秀です。
例えば、児童数、撮影間隔をセットし、自動シャッターで画像取り込みができる機能があります。 この機能を活用すると、児童がかいた絵や習字、新聞を手間をかけずにファイルに保存することができます。

1教室に1セットの導入をぜひ検討して頂きたいですね。
私塾で導入しても面白い機器だと思います。