最後の京都出張

 私事ながら、今月末で現在の会社を退社します。

 ということで、今挨拶回りがけっこう入っていたりするわけでして。

 本日は定例会と引き継ぎという用向きで京都出張がありました。

 とりあえず公開授業をきちんとこなし、来年度に向けた準備をするというロードマップ上にいる学校を置いて出て行く、というのは心残りではあります。が、しようのないことでもあります。

 やるべきことをやり、伝えるべきことはきちんと伝えた上で私は次のステップを目指します。

 お互い進んでいけばまた道が交わることもあるでしょう。
 その時にはまたなんらかの知見を伝えられるよう精進していたいですね。
 また、業務は終わっても繋がった人と人の縁は簡単に切れないとも思っています。

 支援員のI君、また会えますよ。

 その日を楽しみに、今はお互いのやるべきことをやりましょう。
 先生方のサポートよろしくお願いします。

 それでは。また会う日まで。

新iPadに関する見解の相違2

 ちょっとしつこいですが、以下の記事を見つけたので昨日の続き。

・「アップル神通力に陰り サプライズ乏しい…新型iPadに失望の声

 世の中には気の毒な残念なことに、イノベーションにしか価値を見いだせない方々がいます。現場を知らない、机上思考の傍観者。

 今回、新しいiPadがiPad2とほとんど変わらなかったのはマーケティング的にも大正解でしょう。なぜなら、iPad2が著しく旧式化してAndroid端末に見劣りがするわけでも、マーケットに飽きられて出荷台数が大幅に落ち込んでるわけでもないからです。

 むしろ、コンテンツが充実しつつある今、互換性を損ねるような大幅な変更の方が問題。今は熟成の時期なのです。

 iPadは毎年新機種を発表しています。今回の発表で3代目ですが、iPadユーザも増えプラットフォームとして機能し始めて間もないといえます。ここで大幅に新機能を搭載するとコンテンツ・プロバイダもiPadというプラットフォームを敬遠してしまいます。
 多様性をうたうAndroidの弱点はそこであり、矢継ぎ早に新ハードを発表して結局マーケットから退場せざるを得なかったセガ(私は好きなメーカーで、メガドライブ→サターン→ドリームキャストと貢ぎました(笑))に学ぶべきでしょう。

 そういう意味では、おそらく来春発売される次のiPadは新機軸を搭載してきます。その頃にはLTEも今より普及し、iBooksの動きも見えてくるなど環境も変化しているはず。

 アップルのティム・クックCEOの評価はそこを見てからでも遅くないのではないでしょうか。

新iPadに関する見解の相違

 昨日に続いて新iPadの話題です。

 TwitterのTL(タイムライン)を眺めていると、iPadについて様々な意見が飛び交っていて面白い。

 期待通りという人、期待外れという人。

 人それぞれでいいんですが、期待外れという人は「Retina Display」の美しさを過小評価しています。
 ウソだと思ったら、店頭で(並んだ頃に)デモ機に触れてみるといい。

 これ、デジタルコンテンツの底が一段上がるくらいのインパクトですよ。
 特に学校現場では。

 ウソだと思ったら、デザインに優れた教育用デジタルコンテンツを再生して子どもたちに見せてあげて下さい。
 フューチャースクールでタブレットPCに触れている子どもたちがいいでしょう。
 デジタル機器に慣れている彼ら/彼女らもきっと目を見張るはずです。

 アナログ放送から地デジに移行した時の感動、この感じに近いと思います。

 ちょっとしたデモ教材を作ろうと、わくわくしている自分がいます。

教育用タブレットの本命? 新iPad発表

 巷間「iPad3」「iPad HD」と呼ばれていた「新しいiPad」が発表になりました。

 私はiPad(特に「新しいiPad」)が教育用タブレットの本命になると考えています。

【理由その1】
・ひとつのベンダーがコントロールする安定したプラットフォーム
 iPadはハード、ソフトともにAppleが管理しており、安定したプラットフォームです。また、Androidのように端末によって画面解像度が違う、スペックが違うといったこともありません。これは教育現場で大勢の生徒に扱わせる先生にとっても利点ですし、コンテンツ開発を行うベンダーにとってもメリットです。

【理由その2】
・高解像度「Retina Display」採用
 iPhone4/4Sをお使いの方はご存知のように「Retina Display(網膜ディスプレイ)」の解像度は高く、通常の利用ではドットを見分けることができません。これが文字・グラフィクスの見栄えを非常に美しくしています。「教科書」をうたう以上、これくらいの見栄えは必要だと思われます。

【理由その3】
・無料電子書籍オーサリングツール「iBooks Author」の提供
 アメリカの大学の教科書事情を考慮して「教科書の再発明」を宣言したアップルですが、その影響は日本にも及ぶでしょう。検定が必要な教科書はまだ先のことになるでしょうが、iBooks Authorを利用して児童生徒が利用する副教材がリリースされるのにそれほど時間を要しないでしょう。情熱のある先生方のワーキンググループから近々副教材が共有される可能性もあります。
 私自身、個人や中小ベンダーが電子書籍を作成し、流通させることのできるプラットフォームに非常に大きな可能性を感じています。

【理由その4】
・バッテリ、Wi-Fi、カメラの基本性能
 細かいスペックはAppleのサイトをご覧頂くことにしましょう。それでも10時間駆動するバッテリ、IEEE802.11.n対応の無線LAN、500万画素の外向きカメラは魅力的で子どもの学習のフィールドを広げる可能性を持っています。例えば野外学習にiPadを持ち出せばハイクオリティの写真、動画を撮影でき、iPadで編集できてしまいます。

 ひとつのデバイスだけで教育現場を大きく変えられるとは思いません。
 しかし、安定性に欠けフリーズする、コンテンツの選択肢が乏しい、といった端末を体験してきた私から見ると、iPadが魅力的なデバイスであることは間違いありません。

シャープ、教育用タブレットJT-T100発表

 日本時間、本日の深夜から明朝にかけてiPad3の発表(?)があるようで、心待ちにしているユーザも多いことでしょう。

 それはさておき、やや古いニュースですがシャープが教育用タブレットを今月1日に発表しましたね。

・「シャープ、教育市場向けAndroidタブレット「JL-T100」

 CPUはデュアルコアを採用ということですが、バッテリ駆動時間はどれくらいになるのでしょう? 学校現場で利活用するためには、朝充電庫から取り出して放課後しまうまで充電しない使い方が一般的です。少なくともカタログスペックではなく、実駆動時間で最低6時間は必須と思われます。

 OSは安定性重視ということでAndroid2.3搭載。このOSの選定は正解かもしれません。というのも、授業をストップさせてしまうシステムトラブルが看過できないからです。

 解像度はどうでしょう? 1024×600というのはGalaxy Tabなどと同じですが、やや特殊な解像度。Androidタブレットは端末ごとに解像度が異なり、これがアプリ対応を難しくしている側面があります。ちなみにiPadは1024×768。XGAというパソコンにもある一般的な規格ですから、コンテンツ製作者から見ると画面設計が1種類で済むというのは工数削減という点で言えば大きなメリットですね。

 このタブレット、電子黒板との連携、電子ペンによる書き込みなど魅力的な機能も搭載してます。が、カタログスペックだけ充実しても教育現場では使えないケースがよくあります。安定性、使い勝手のよさが大切です。前にも書きましたが、書き心地のよいIWBが発売されたら、たとえ機能が少なくても先生方は喜んで使います。ここなんですよね。
 多機能な方が売り込み時には見栄えがしますから有利に働くかもしれません。が、IWBの機能でペン、拡大・縮小以外の機能を常用している先生を見たことがありません。現場は「使い勝手」を求めています。

 このタブレット、現場からのフィードバックが活かされているようなので、ぜひ実物を触りに展示会に行きたいと思います。

久しぶりにIT研修

 本日、某企業様に出向き講演&IT研修をしてきました。久しぶり。

 講演は「ドットコムマスターで読み解くITトレンド」というタイトルで、ソーシャルメディア、多発するネット障害の裏側、HTML5、標的型攻撃等について1時間半ほど行いました。

 その後、ドットコムマスター★の過去問を題材にTCP/IP、Ethernet、Wi-Fi、MIMEなどを解説。こちらも1時間半。

 反省点は受講者のカテゴリが絞り込めず、話題を盛り込み過ぎてキツキツの時間構成になったこと。トピックをひとつ削り、もう少し掘り下げる、ネタ話を盛ることができるとよかったかな。

 最近、文教系の業務が立て込んでドットコムマスター研修から遠ざかっていましたが、検定合格を目指す受講生の方々と濃密なひと時を過ごすことができました。

 やはり教える現場が好きだと再確認しました。

『学校に競争 米改革不評』(朝日新聞)

2012/3/4の朝日新聞3面の記事。
「学習内容に偏り」「教師は疲弊」との小見出しが続く。

 記事は10年前にブッシュ政権がつくった「落ちこぼれゼロ」法が成果を上げられず、見直しを求める声が強まっているとした上で、最上段に「橋下流教育政策に先行」と打ち、橋下市長の教育改革に疑義を呈しています。

 アメリカと大阪を比較した表があるので抜粋します(以下、朝日新聞の記事より)。

■米国と大阪の教育改革の類似点

米国 大阪
学校別に結果を公表。保護者はそれを基に学校を選択 学力
テスト
保護者が小中学校を選べるよう、学校別に結果を開示
テストが4年連続で目標に達しない場合、教員を総入れ替えする 教員
評価
保護者の申し立てや校長の評価で、不適格教員を現場から外して研修
5年連続で目標に達しない場合や卒業率が低い学校は閉校 統廃合 3年連続で定員割れした府立高校は再編整備。小中学校でも学校選択制を導入し、選ばれなかった学校は統廃合も考慮
テストが標準に達しない子は低学年から留年させることができる 留年 小中学校で、学力不足の子の留年を検討
シカゴ、ニューヨークなど大都市で教育委員会を市長直属に 教委 教育の基本計画は首長が教育委員会と協議して作る
テストが2年連続で目標に達しない場合、塾や家庭教師に使えるバウチャー(券)を支給 バウチャー 所得が低い地区の子の保護者に、塾や習い事に使うバウチャーを支給

(大阪の改革項目は教育基本条例や橋下徹市長の発言による)

——————————————-ここまで

 記事によれば米国の失敗は「評価をテスト結果のみにしたことで、子どもたちはつまらない授業(テストのための勉強)にうんざり、効果も上がらない」ということのようです。
 それはそうでしょう、テストの結果や数字のみを求めて競争すれば疲弊するのは目に見えている。
 記事中にあるように「(学力格差を明らかにしたことはよかったが)格差を是正するには予算をかけ教員を増やし、きめ細かい多様な教育をする以外にない」とのことですが、その予算が限られている中で最適解を探さなくてはならないから苦しいのです。

 で、橋下さんはどうするのか。

 このアメリカの事例、成果や失敗とされる内容・原因について精査する必要があると思います。
 ちょっとこの記事の書き方は橋下さんに好意的とは言えない。例えば上の表、「教員評価」の項目ですが、テストが目標クリアできない場合教員総入れ替え(米国)というのと、不適格教員を現場から外して研修(大阪)というのが並んでいます。これを類似点としてひと括りにするのは乱暴ではないでしょうか。

 先行事例を踏まえて、結果・数字のみを追いかける教育にならないよう橋下市長には頑張って頂きたいものです。

ICT活用の課題

 過去記事になってしまいますが、昨日、CECの発表会がありました。

・「平成23年度「教育の情報化」推進フォーラム

 私は出席しませんでしたが、Twitterで流れるツイートをチェックしていました(ハッシュタグ #cec2012)。

 やはりみなさん課題と考えられてることは同じで、職業としてICT支援員をどう位置づけるか(有期雇用)、ICT支援員の資質とは、ICT支援員の連携、特別支援学校のICT活用とこのブログで書いてきたことと重なっています。

 課題は抽出されつつあるので、今後どういうアクションに結びつけていくのか。

 そろそろそういう時期が来ています。

2回目の協議会に参加

 先月無事に公開授業を終え、本日は2回目の協議会がありました。

 特別支援学校ということで、ICTで子どもたちのモチベーションを引きだせた話に軸足があったのが一般校との違いであり、印象的でした。

 中でも、先月末に前籍校(以前在籍していた学校)とテレビ会議システムを通じて交流授業を行った児童は、先生方の想像以上にモチベーションが上がったそうで、今後も交流授業にどんどん活用していきたいとの話に胸が熱くなりました。
 そして、その児童は今日、手術を受けたのだとか。
 早く良くなって欲しいと願わずにはいられません。

 座長の先生も仰ってたように、ICT活用は長期欠席を余儀なくされる子どもにとってより意味のある存在だと思いますし、フューチャースクールの取り組みがより早い一般化への契機になって欲しいものです。

O校長の言葉

 昨日の訪問、慌ただしい帰り際にO校長がおっしゃっていたことをもうひとつ。

 「児童ひとりひとりに1台のタブレットPCを与えて意味が出てくるのは、家からもクラウドに接続して学校の続きをできるようになってこそ。家で接続できなければ、グループに1台のPCでいい。」

 このセリフを聞いてハッと思いだしたことが。

 教育スクウェアの思想として「学校と家の学習環境をシームレスに結ぶ」というのがあります。

 教室で、先生が教えてくれたように、教室と同じ教材が家でも使えたら家庭学習に対する敷居は相当下がるでしょうね。
 (ここでは、家でもパソコンを使って学校の延長で学習することの是非には触れません。これだけでひとつのテーマになってしまいますから。)
 また、子どもたちの学習効果も上がると思うのですがいかがでしょう?

 現時点ではコストの問題はもちろん、ICT活用教育に賛成でない親御さんもいて、正直難しい面もあります。

 一日も早くICT機器もありふれた教具のひとつとして認知される日が来ることを願っています。