久々の教育スクウェア

当社で支援員を派遣しているK市の小学校からヘルプが上がり、久々の現地入り。
本日は授業参観で2クラス同時にICT支援を行うため、急きょ訪問が決まりました。

この小学校は常にハイレベルな授業をされているA先生、ICT活用に確かな見識をお持ちのO校長をはじめ、意識の高い先生方が多く、いつ行っても勉強になります。

 さて、本日は算数の授業参観で使ったソフトウェアについてO校長から意見を頂戴しました。

 「立体図形のコンテンツはデジタル化しなくてもよかったんちゃう? 前の面積のはよかったけど。」

 ん〜、確かに(苦笑)。
 コンテンツの完成度は置いとくとしても、児童がタブレットを各自操作して立体(四角柱、円柱)の頂点、辺、面の数やその関係を見いだす教材としてはデジタルは難しい。
 難しさは2点あると思います。

 ひとつめ。元来、三次元のものをディスプレイに二次元投影し、それを脳内で三次元に組み立て直すという認知が難しい。その点、面積のコンテンツが好評だったのは、もともと二次元の図形をディスプレイで眺めるだけだから。

 ふたつめ。三次元の図形を画面内でグリグリ回す操作は単純とは言えず、操作に神経が行く分、本来の課題に向かうべき集中力が削がれてしまう。

 結論として、立体図形を扱うには現状、実物模型に分があるという話に落ち着きました。
 ちょっとこのままでは悔しい気もするので、画期的なコンテンツのアイディア出し(特にインタフェース周り)をしたいところです。

 それにしても・・・授業をのぞいていた時間が数分程度だったにも関わらず、上記の点を指摘したO校長恐るべし、です。

ICT支援員に身につけて欲しいスキル

このところ支援員さんに、ぜひ身につけて欲しいと痛感しているスキルがあります。
これはフューチャースクールをはじめ実証実験中だから、という意味合いが強いのですが。

それは・・・報告を書く力。

支援員さんにとって難しいのは、というより誰にとっても難しいのは、いかに他人にとって分かりやすいレポートにするかということ。
自分は当事者だからどう書こうが自明ですが、現場を知らない人が読んだ時に教室の情景が頭に浮かぶように書いて欲しいと思います。

具体的には、自分自身の所感を書く前にどういう具体的なことがあったか、そこを書くだけでも格段に読み手に伝わりやすくなります。

児童生徒と同じで、実感してもらうことができれば変わるかな、と思います。

私も伝え方を工夫する余地があるということでしょうね。

「確率」も危ない!

 昨日、「平均」の理解の危うさについてエントリを起こしましたが、今日は確率について。

 いきなり質問です。
 コインの裏が出るか、表が出るか賭けをしています。ここまで10回連続表が出ています。あなたは表、裏、どちらに賭けます?

 おそらく、多くの人は「裏」です。そのココロは「ここまで表が続いたのだから、そろそろ裏が出るだろう」
 確率的に言えばこの考えは間違い。コインが今までのことを覚えていて、次は別の面を出すとでも?
 いかさまコインでない限り今までどちらが何回出たかに関わりなく、次の回も表が出る確率は1/2、裏が出る確率も1/2です。

 10回では回数が多いので、3回で検証してみましょう。今まで2回連続で表が出ました。次は何?という問題。
 1回目-表、2回目-裏、3回目-表 という出方を(表、裏、表)と書き表すことにします。全ての場合を書き出すと以下の通りになります。

 (1)(表、表、表) (2)(表、表、裏)
 (3)(表、裏、表) (4)(表、裏、裏)
 (5)(裏、表、表) (6)(裏、裏、表)
 (7)(裏、裏、表) (8)(裏、裏、裏)

 ここで多い勘違いは「全部で8通りの場合があって、すべて表が出てるのは(1)の場合だから確率1/8。だから次も表が出る確率は低いんじゃない?」というもの。

 全ての場合を見てはいけません。
 ここで見るべきは表、表と来ている(1)と(2)のみです。ここを押さえると次に表が出るか裏が出るかは五分五分の勝負ということが分かりますね。

 3回連続表が続くケースがレアなのは、1回目を試行する前に宣言した場合です。
 「これから表が連続3回出たら、コーラおごって」なんて言う場合、そのもくろみが叶う確率は1/8です(笑)。ただし、誤解の無いように付け加えておきますが「これから表、裏、表と出たら」と宣言した場合も(3)の場合しか該当はなく、確率は同じ1/8になります。

 ということで、ギャンブルで負けが続いた場合「次こそ」と期待して逆張りするのは、「前の試行の結果が影響を与える」場合を除いて無意味です(^_-)

 もうひとつ行きましょう。
 年末に多くの人が楽しみに買う宝くじ。私たちは「この売り場から1等が出ました」といった文句に弱いので、ついその売り場で買えば当たるような錯覚に陥ってしまいます。
が、公正な宝くじであれば上記で検証したように「当たりが出た売り場だからといって、次も当たりが出るとは限らない」と言えます。

 それでも「毎回のように当たりが出ている売り場があるのはなぜ?」という疑問を持つ方がいるでしょう。
 それは単純に販売数が多いから。
 1億本のくじを売る売り場と、1万本しか売れない売り場では前者の方が確率的には1万倍当たりが出やすいといえます。

 「じゃあ、販売数が多いとは思えない売り場から連続して出ているのはなぜ?」
 この問いに対する答えは2つあります。

 公正な売り場であれば「たまたま」です(笑)。こういう場合は長いスパンをとって見てください。過去10年くらい遡って調べることができればたまたまというのが実感できるのではないでしょうか。

 もうひとつの答えは「宣伝のためのウソ」です。
 人聞きの悪い言い方ですが、一般の人にはほとんど検証のしようがないことですから、もしかすると虚偽の実績を掲げている売り場があるかもしれません。そうすることがその売り場にとってプラスになるなら、ですが。

 ちなみに「今日は大安です」と言って売っている売り場。ほほ笑ましいです(笑)。
 すべての人に当たるといいですね。

テーマをアップデート

 テーマをいままで使用していた「Twenty ten」から外見がそれほど変わらない「Twenty eleven」にアップデートしてみました。

 最大の理由は、右のサイドバーに並べているウィジェットの追加。ちょうどWeb Designing誌の3月号で、このテーマのカスタマイズ記事が載っていたというのがその理由です。

 何もしなくていいと思っていたら、ヘッダー画像のサイズが微妙に変更されていて作り直しました(苦笑)。

 本当は腰を落ち着けて手を入れたいところですが、他のToDoとのバランスを考えると表面的にしか触れそうもないのが辛いところ。

 ちょこちょこいじってこうと思います。

大学生も「平均」が分からない

 『大学生の4人に1人、「平均」の意味誤解 数学力調査』という記事が朝日新聞(Web)に掲載されました。

 私にとってはかなり以前の「高校で分数計算を教える」記事の方が衝撃でした(笑)。

 「平均」は算数・数学を教えた経験がある方なら今回の調査を待たず誤解が多い概念だということはご存知でしょう。日常見聞きすることが多い言葉だけに、その影響は深刻と言えます。いわゆる「足して2で割る」という考えが染みついています。

 朝日の記事では、いわゆる通常の平均について大学生を対象に調査していますが、「平均の速さ」についても誤解(=きちんと学べていない)は多いように思います。
 中学生を教えていた時代、次のような誤解をしている生徒が少なからずいました。

「12kmの道を往きは時速6km、帰りは時速12kmで往復しました。平均時速を求めなさい。」といった問題を
 (6+12)÷2=9 答え 時速9km
と解いてしまうのです。

 念のため正解を示すと、
 [平均時速]=[移動した距離]÷[かかった時間]ですから、
 [往きにかかった時間] 12km÷時速6km=2時間
 [帰りにかかった時間] 12km÷時速12km=1時間
 [平均時速] (12km×2)÷(2時間+1時間)=24÷3=8
 答え 8km

 日常生活に密着していますから、よく理解しておくことが大切な概念です。

 例えばA地点からB地点まで速やかに移動することを考える時、上記の考え方がないとひたすらトップスピードを上げることで平均時速上げる(危険運転)ことしか頭に浮かばず、緊急車両の制限速度時速80km(一般道)では遅い、と感じてしまいます。
 しかし、緊急車両は信号待ちをしなくてもよいので、上記の式でいう分母(かかった時間)を小さくすることで平均時速を大きくできるわけです。ちなみに私がよく運転していた札幌市内では信号待ちが多く、平均時速は20〜30kmでしたね。

 もうひとつ。
 平均寿命の誤解があります。
 平均寿命とは0歳児の平均余命のことですが、「足して2で割る」式のイメージを持ってる方は少なくないのではないでしょうか。極端な例ですが、死亡時年齢が0歳と80歳の人が居たとして足して2で割れば、平均寿命40歳。この数値は確かに平均かもしれませんが、何かを表す有意な数値ではありませんし、平均寿命の考え方としても間違っています。
 実際の平均余命の求め方ですが、現在○歳の人が後何年生きられるかということを前年のデータに基づいて算出しており、これを0歳に当てはめたものが平均寿命と呼ばれるものです。
 厚労省のHPに詳しい説明がありますが、積分が出てくるのでびっくりされる方もいるかもしれませんね。

 ここまで平均のことについて述べると、もうひとつ誤解の多い「確率」について書きたくなってしまいました(笑)。
 近いうちに書きます。

プチ公開授業を終えて

昨日のエントリで紹介した、視察に向けた授業が無事終了しました。

懸念されたネットワークの遅延もなく、本校と分教室を結んで滞りなく道徳の授業が進みました。内容は「命の重さを考える」というテーマ。
内容の重さにも関わらず、生徒の奇想天外な発想に視察の方々は感心したり、吹き出したり。
活気あるいい授業だったと思います。

担当のS先生はベテランの味を存分に発揮し、落ち着いた授業運び。
繰り返しになりますが、ICT活用以前の授業力が肝になります。

分教室の生徒の、うれしそうな様子が印象的でした。

本日の学校訪問

 今日もK市の学校を訪問しました。
 明日、視察団の訪問と公開授業があるため、放課後に環境の最終確認をしました。

 本校と分教室をNTTアイティの「ミーティングプラザ」で結んで遠隔授業を行います。
 このミーティングプラザというASPサービス、以前も紹介したと思いますがなかなかスグレもの。
 Webブラウザが使える環境だと、だいたいどこからでも利用することができ、Webアプリケーションなのでプラグインの他に特別にインストール作業は必要ありません。ポート開放といった作業も不要です。

 このミーティングプラザを用いて、PowerPointのスライドを分教室の子どもたちにも提示して(「ファイル共有」という機能)授業を行う予定。

 ですが、ひとつ問題が持ち上がりました。利用時の快適さは使用するネットワークの帯域に左右されます。
 ファイル共有を行う場合、授業の時間帯や共有するファイルのサイズによっては狙い通りの品質の授業が行えない可能性が出てきました。

 解決策は2つ。ひとつは帯域を増強(もしくはネットワークの空いている時間帯に授業を実施)する。
 もうひとつは、授業で使用するファイルをあらかじめローカルのパソコンにコピーしておく。

 帯域が本当にひっ迫するなら後者です。先生の指示で子どもたちがファイルのページを表示する不便はあるかもしれませんが。もっと言ってしまうと、資料をコピーしてあらかじめ配布するという手も考えられます。

 しかし、明日の公開授業は視察ということもあり、ぜひミーティングプラザの機能で完結させたいという意向があるようです。

 明日はネットワークが混雑しないことを祈りますが、普段の授業では柔軟な、無理をしない対応が必要と思います。
 ICT活用の最適化は今後の課題でしょう。

教育スクウェア×ICT フィールドトライアルの「ビスケット」授業

 神奈川県の小学校で行われた「ビスケット」授業の模様が記事になりました。

 「ビスケット」とは、NTTグループが行っている「教育スクウェア×ICT フィールドトライアル」の目玉コンテンツのひとつで、簡単に言うと「グラフィック要素を視覚的にプログラミングできる言語」。アニメーションやゲーム作成が容易にできます。
LOGOを懐かしく思い出した方もいるかもしれません:)

 神奈川県の小学校の授業風景はこちら↓
・「小5を対象にタブレットでプログラミング体験授業

 以前に行われたアニメーションを作成する授業もリンクを貼っておきます↓
・「新潟県関川小の事例
・「秋田県水沢小の事例
・「鹿児島県那間小の事例

 こうして並べてみるとイメージがつかみやすいですね。

 これらの作品を眺めて、使ってみたいと思われた方もいるのではないでしょうか。
 トップページはこちらになります。ぜひ、のぞいてみて下さい↓
・「ビジュアルプログラミング言語VISCUIT(ビスケット)

 というか、上記小学校のリンクがこちらの下部にありますね。
 が、せっかくなので残しておきます(苦笑)。