こんなiPadを待っていた?

 しつこく一昨日のエントリの続き。

 今回発表のiPadに不満な人々は、こんな製品を期待したのだろうか?

・「PadFone(ASUS)

 確かに、スマートフォンをタブレットに収納し、タブレットはキーボードと合体してノートパソコン(ライク)になる、というのはおもしろい! スマホで見ていたコンテンツを拡大して見たい時にタブレットに挿入するだけ、とか。

 ここだけみればワクワクする製品だし、触れてみたいと思う。けれど、アプリ(コンテンツ)を載せるプラットフォームとして考えなくてはいけないことがあります。

 ひとつはプラットフォームとして、コンテンツベンダーが魅力を感じる台数だけ普及するか。プラットフォームのパワーは数。ある程度の数が出ないと多くの企業は乗ってきません。

 もうひとつは新機軸を追いかけて、互換性のない新機能が搭載されはしないか。例えば、ディスプレイの解像度が上がること自体は歓迎すべきだけど、新機種が出るたびに解像度が上がるのではコンテンツ制作側はつらいですよね。

 今やiPadは世界で5000万台以上普及しているプラットフォームです。
 ですからちょっとした思いつきで新機軸を投入できるわけではない。引き継ぐべき過去の遺産を負っているので「冒険的な精神」が失われた(かのように見える)製品が出るのもやむを得ない面はあるでしょう。

 だから次のiPadを見る意味があるのです。

 次の記事も参考になると思います。

・「新しいiPad”が追求したスペック以上の魅力

 実はこの話、ICT支援教育とも重なる部分があるように感じます。
 また稿を改めます。

新iPadに関する見解の相違2

 ちょっとしつこいですが、以下の記事を見つけたので昨日の続き。

・「アップル神通力に陰り サプライズ乏しい…新型iPadに失望の声

 世の中には気の毒な残念なことに、イノベーションにしか価値を見いだせない方々がいます。現場を知らない、机上思考の傍観者。

 今回、新しいiPadがiPad2とほとんど変わらなかったのはマーケティング的にも大正解でしょう。なぜなら、iPad2が著しく旧式化してAndroid端末に見劣りがするわけでも、マーケットに飽きられて出荷台数が大幅に落ち込んでるわけでもないからです。

 むしろ、コンテンツが充実しつつある今、互換性を損ねるような大幅な変更の方が問題。今は熟成の時期なのです。

 iPadは毎年新機種を発表しています。今回の発表で3代目ですが、iPadユーザも増えプラットフォームとして機能し始めて間もないといえます。ここで大幅に新機能を搭載するとコンテンツ・プロバイダもiPadというプラットフォームを敬遠してしまいます。
 多様性をうたうAndroidの弱点はそこであり、矢継ぎ早に新ハードを発表して結局マーケットから退場せざるを得なかったセガ(私は好きなメーカーで、メガドライブ→サターン→ドリームキャストと貢ぎました(笑))に学ぶべきでしょう。

 そういう意味では、おそらく来春発売される次のiPadは新機軸を搭載してきます。その頃にはLTEも今より普及し、iBooksの動きも見えてくるなど環境も変化しているはず。

 アップルのティム・クックCEOの評価はそこを見てからでも遅くないのではないでしょうか。

新iPadに関する見解の相違

 昨日に続いて新iPadの話題です。

 TwitterのTL(タイムライン)を眺めていると、iPadについて様々な意見が飛び交っていて面白い。

 期待通りという人、期待外れという人。

 人それぞれでいいんですが、期待外れという人は「Retina Display」の美しさを過小評価しています。
 ウソだと思ったら、店頭で(並んだ頃に)デモ機に触れてみるといい。

 これ、デジタルコンテンツの底が一段上がるくらいのインパクトですよ。
 特に学校現場では。

 ウソだと思ったら、デザインに優れた教育用デジタルコンテンツを再生して子どもたちに見せてあげて下さい。
 フューチャースクールでタブレットPCに触れている子どもたちがいいでしょう。
 デジタル機器に慣れている彼ら/彼女らもきっと目を見張るはずです。

 アナログ放送から地デジに移行した時の感動、この感じに近いと思います。

 ちょっとしたデモ教材を作ろうと、わくわくしている自分がいます。

教育用タブレットの本命? 新iPad発表

 巷間「iPad3」「iPad HD」と呼ばれていた「新しいiPad」が発表になりました。

 私はiPad(特に「新しいiPad」)が教育用タブレットの本命になると考えています。

【理由その1】
・ひとつのベンダーがコントロールする安定したプラットフォーム
 iPadはハード、ソフトともにAppleが管理しており、安定したプラットフォームです。また、Androidのように端末によって画面解像度が違う、スペックが違うといったこともありません。これは教育現場で大勢の生徒に扱わせる先生にとっても利点ですし、コンテンツ開発を行うベンダーにとってもメリットです。

【理由その2】
・高解像度「Retina Display」採用
 iPhone4/4Sをお使いの方はご存知のように「Retina Display(網膜ディスプレイ)」の解像度は高く、通常の利用ではドットを見分けることができません。これが文字・グラフィクスの見栄えを非常に美しくしています。「教科書」をうたう以上、これくらいの見栄えは必要だと思われます。

【理由その3】
・無料電子書籍オーサリングツール「iBooks Author」の提供
 アメリカの大学の教科書事情を考慮して「教科書の再発明」を宣言したアップルですが、その影響は日本にも及ぶでしょう。検定が必要な教科書はまだ先のことになるでしょうが、iBooks Authorを利用して児童生徒が利用する副教材がリリースされるのにそれほど時間を要しないでしょう。情熱のある先生方のワーキンググループから近々副教材が共有される可能性もあります。
 私自身、個人や中小ベンダーが電子書籍を作成し、流通させることのできるプラットフォームに非常に大きな可能性を感じています。

【理由その4】
・バッテリ、Wi-Fi、カメラの基本性能
 細かいスペックはAppleのサイトをご覧頂くことにしましょう。それでも10時間駆動するバッテリ、IEEE802.11.n対応の無線LAN、500万画素の外向きカメラは魅力的で子どもの学習のフィールドを広げる可能性を持っています。例えば野外学習にiPadを持ち出せばハイクオリティの写真、動画を撮影でき、iPadで編集できてしまいます。

 ひとつのデバイスだけで教育現場を大きく変えられるとは思いません。
 しかし、安定性に欠けフリーズする、コンテンツの選択肢が乏しい、といった端末を体験してきた私から見ると、iPadが魅力的なデバイスであることは間違いありません。

iBooks Authorで作ったサンプル(1)

 先日アップしたエントリ「iBooks Authorを使ってみた」にひどい勘違いがあったので修正し、ここに新しいエントリを起こしました。

 「iBooks Author」で作成した「.ibooks」という拡張子を持つファイルは「iBooks2」でのみ開くことができると思い込んでいましたが、通常のリンクに埋め込むことができるようです。手持ちのiPadで確認したところ問題なく表示されました(自分のiPadでしか確認できていませんが)。

 iPadをお持ちの方は以下のリンクをクリックし、開いたページ上のリンクをクリックします。ダウンロードファイルをPDFとして開くか、iBooksで開くか確認画面が表示されますので後者を選択します。
 前エントリでPDFとした公開した電子書籍をイントロメディアのビデオ付きで見ることができます。
※iPadは横位置でご覧ください。縦位置だと表示が崩れます。

iBooks Authorで作ったサンプル

 iBooks Author、いいですね!
 今まで教師の提示用のみ供給されていたデジタル教科書が、一気に児童生徒用に広がる可能性をはらんでいます。
 もちろんAppleはそこを狙って「iBooks Author」「iBooks 2」「iTunes U」というエコシステムをリリース、教科書の再発明とぶち上げたわけですが。

 また、ちまちま試しながらレポートしたいと思います。